自然倶楽部 1990年4月号 33-35P
試してみよう不思議なオリジナルフライ あの川、この毛鈎
このコーナーを応援、愛読し続けてくれたF・Fフアンの皆さん。 長い間本当にありがとうございました。 残念ながら今回をこのコーナーの最後とし、いったん終了させていただくことになりました。 当初は、全くオリジナルなパターンを……というコンセプトを考えていたのですが、オリジナルと既製パターンを区別する定義のあいまいさも手伝って、いつのまにかスタンダードパターンの方を多く紹介してしまった感があり、振り返ってみるといろいろ反省することばかりです。 今後は、F・F王国であるニュージーランドや、アメリカンさらにはイギリスパターンなど、各毛鈎ならではの方法論も取り入れ、より充実した内容の新しいコーナーを考慮中です。
イギリスパターンの特徴は、イミテーションとはいえファンタスティックなフライであるということ。
人間の目で見た水棲昆虫のイメージを、より魚から見たイメージに近づけようという観点からフライ・フィッシングの歴史と共に研究されて来たフライ……ということなのである。
見た目には何のイミテーションなのか分からなくてもそのシルエットを見れば納得できたり、姿形よりも自然界での特徴、たとえば「バックの色に対してどのように映るか、飛翔しているときの速度は、水中からはどのように見えるか、亜成虫あるいは成虫、そしてもちろん実際の水棲昆虫によく似せる……」などといったことも含めてそのフライに巻き込んでいることなのだ。
当然の事ながら、アトラクターフライ・イミテーションなどという、特にフライを分類することははとんど無意味となる。 意識的にかけたドラッグ、ドリフトの途中で自然にかかったドラッグ、ドラッグの後に必然的に派生するターン等。 故意にウェイキングをしなくてもナチュラルドリフトのプロセスで必然的にアトラクトは行われるのだ。 パターンを理解するうえでは、ある程度必要ではあるが…………………………。
また、キャスティングや、プレゼンテーションさらにはタックルや、マテリアルにさえイギリスパターン特有のものが必要となってくる。 そのフライのもてる特徴、特性を完全に理解し、生かしきってこそ始めてフライの存在価値、つまり魚を確実に釣りあげることができるからである("イギリスパターンを有効に生かすために"本誌P44参照)。
1.ファンデーションスレッドは、シャンクのベンドの位置まできっちりと巻く
2.ジンジャーのファイバーをひとつまみ取り、テールとする。テールとシャンクのバランスは見てのとおり
3.ボディ材であるイエローのダビングファーをテールの位置から巻き始める
4.ファーをアイに向かってていねいに巻いていく
5.ボディを巻き終える位置は見てのとおり
6.ファイバーの長さはこのぐらいを目安に
7.表が上になるように1枚目のハックルを取り付ける
8.指でテール側にファイバーを寝かせながら、きっちりとハックルを巻いていく
9.1枚目のハックルをとめる
10.ハックルの余分をカットし、2枚目のハックルを取り付ける
11.1枚目のハックルを巻き終えた位置から、2枚目のハックルを巻いて行く。ハックル同士を重ねないように巻くのがコツ
12.2枚目のハックルをとめアイを巻いて完成
13.完成したイギリスパターンのジンジャー
弾力を十分に生かすため、ハックルは1枚づつていねいに巻いていくこと。 先に巻いたハックルをつぶさないように二枚目のハックルを巻いていくのが重要なポイント。
(自然倶楽部1990年4月号 33-35P)