自然倶楽部 1990年3月号 62-64P
試してみよう不思議なオリジナルフライ あの川、この毛鈎
河原の雪が溶け日差しが次第に強くなる頃、渓流ではようやく飛び交い始めたばかりの虫に魚がライズするのが見られるようになり、待ちに待つたドライフライのシーズンが始まります。
シーズン初期は昔からよくブルーダンというパターンのドライフライが多く便われています。 ブルーダンはハックル・ボディ・テールの全てがグレーで何の変哲もないフライに見えますが、よく見るとハックルとテールが単純なグレーではなく、細かに黒っぽい点と白っぽい点とが人り混じっていることがわかります。 おそらく黒っぽく見えるのは色素で白っぽく見えるのは色素が無い部分なのではないでしようか。 魚でいうとアルビノのようなものなのでしょう。
こんどはブルーダンを太陽の光にかざしてみます。 すると光にとけ込んだかのように見えなくなり、電灯の光でもやはり同じです。 光のなかに消えてなくなるなんとも不思議なフライなのです。
この現象はどこかで見たことがあるような気がしませんか。 そう、これはきっとカゲロウのダンスです。 釣りをしていてふと空を見上げると、カゲロウが舞い上がったり舞い降りたりするダンスを見ることがあります。 光線の加滅によって見えているはずのカゲロウが見えなくなってしまうのです。 見えなくなるのはおそらく影を出さない性質があるからでしょう。 どうやらブルーダンとカゲロウは影を出さないという共通点があるようです。
影を出さないものに対して影を出すものもあります。 釣りをしていて気がつくのはトビゲラやカワゲラです。 草の葉についている時は周りに溶け込んでいて捜し出すのに苦労しますが、飛行中は簡単に見つけることが可能です。 なぜなら彼らは、自分の影を落としながら飛び回っているからです。
パターンブックで調べるとセッジに該当し、これを大陽の光にかざしてみると影をつくります。 どうやらセッジパターンとトビゲラ類は影を出すという共通点があるようです。
こうしてみるとドライフライにも影を出すものと出さないものがあるようです。
春先に、グレーともブルーともつかないような色の小柄なカゲロウが飛びまわる一時期があります。 ブルーダンはそれを十分に表現していると思います。
セッジはトビゲラ類が数多く飛んでいる時に便われているパターンです。
またパターンブックでもカゲロウとカワゲラ、影を出すものと出さないものとに分類されているようです。
1.ファンデーションスレッドは、シャンクのベンドの位置まできっちりと巻く
2.ブルーダンのファイバーをひとつまみ取り、テールとする。テールとシャンクのバランスは見てのとおり
3.コンドルクイル2 本、テールの上に取り付ける
4.2本のクイルをアイに向かってていねいに巻いていく
5.ボディを巻き終える位置は見てのとおり
6.ファイバーの長さはこのぐらいを目安に
7.表が上になるように1枚目のハックルを取り付ける
8.指でテール側にファイバーを寝かせながら、きっちりとハックルを巻いていく
9.1枚目のハックルをとめる
10.ハックルの余分をカットし、2枚目のハックルを取り付ける
11.1枚目のハックルを巻き終えた位置から、2枚目のハックルを巻いて行く。ハックル同士を重ねないように巻くのがコツ
12.2枚目のハックルをとめアイを巻いて完成
13.完成したイギリスパターンのブルーダン
弾力を十分に生かすため、ハックルは1枚づつ巻いていく。先に巻いたハックルをつぶさないで二枚目のハックルを、巻くのがコツだ。
(自然倶楽部1990年3月号 62-64P)