自然倶楽部 1989年8月号 38-39P
試してみよう不思議なオリジナルフライ あの川、この毛鈎
夏もいよいよ本番!! うなだれるような暑さの中でフィッシング--してますか。 水温は高いしブッシュの中は、モスキートのモノホンがブンブン。 水位の下がった川には魚の"さ"の字もない。イブニング・ライズまで昼寝でもしてるか〜。 などと言ってないでどんどん川へ出かけましよう。 暑いのはみんな一緒。 みんなが川へ入りたがらないから意外に瀬で大物が出たりするのもこの季節。 今シーズンこそ真夏の日中にチャレンジしよう!
「夏場に威力を発揮するフライをいくつかあげて下さい--」
もしこんな質間かあったらほとんどのフライマンは、"セッジパターン"を迷うことなくその一つにあげるはず。 現実にセッジの威力には目を見張るものがあり、対象河川を一つに絞ることなどとうていできない。 極端な言い方をすれば東北の全河用に共通する"万能のアタリ鈎"と言うことさえできるかもしれない。
それで今回は数あるセッジパターンの中からカディスアダルト、特に初心者でもタイイングが容易なエルクヘアーカディスを紹介してみる。
エルクヘアーカディスは非常に浮力の強いフライであるため、真夏の日中、瀬を攻めるのには最通な鈎である。 また視認性もいいのでイブニングには強い味方となってくれる。
フライにドラッグをわざとかけてやり、フラッタリングを演出して魚を誘い出すのもこのフライ。 スイスイと水面を滑る様に泳がせてやると、たまらなくなって魚が飛ぴ出してくる。 また、ターンして水中に沈んでも、ウイングの形状から魚の気を引くアトラクトの効果を生まれながらにして持っているため、アンダーサーフェイス(水面直下のウェットフライ)的な使い方もできる。
ナチュラルドリフト、ダウンストリームのターン&アクロス、そして水面直下をもカバーしてしまうというスーパー万能ぶりを見せてくれるエルクヘアーカディス。 一度この威力を体験してみては--。
1.アイ側からシャンクのベンドまでファンデーションスレッドを巻く。ボディハックルを止めるためにスレッドは長めに出し、切らないでおくのがコツ。
2.ボディ材のファーをダビングしてムラなく巻く(ボディはピーコックハールでも可)
3.アイ側にボディハックルを取りつけ、テール側に向かって巻いていく。
4.切らずに伸ばしておいたスレッドでボディハックルを止め、スレッドはハックルの間をぬうように(スレッドを左右にゆすってヘアーを巻き込まないように)アイ側に巻いていき止める。
5.エルクヘアーをひとつまみ切り取り、スタッカーで毛先をそろえる。
6.毛先をそろえたエルクヘアーをアイの少し内側に取りつけウイングとする。スレッドを軽く2~3回巻いてから締めつけるのがコツ。
7.放射状に広がったヘアーをカットする。
8.フィップフィニッシャーでアイを巻いて完成。
1.任意にファーをつまみ太さをだいたいそろえる。
2.ピンセットでスレッドの付け根をファーの上端と共につまむ。
3.左手で注意深くファーをダビングして行く。
4.ファーを伸ばさないように撚るのがコツ。
(自然倶楽部1989年8月号 38-39P)