自然倶楽部 1989年7月号 38-39P
試してみよう不思議なオリジナルフライ あの川、この毛鈎
"カディス","ストーンフライ","テレストリアル"----夏場に威力を発揮する代表的なパターンである。 今回はその中でも陸生昆虫のイミテーションであるテレストリアルのパターンに焦点を絞ってみたい。
対象河川は特に限定できないはど多くの実績を持つ"ジョーズ・ホッパー"が今回紹介するアタリ鈎。 昨シーズン最も効果があった川は、山形県の乱川である。 7月頃の東北では峠を境に、東日本では大雨、西日本では快晴といったパターンがよくみられる。 昨年も正にその通りで、釣りに行ったものの濁りと増水で入渓できず、山形県まで足をのばすことが多かった。 R48の関山トンネルを抜けた途端に夏の陽射しが目にとび込んで、大快晴の下、入渓できるのだ。
乱川はR48に沿って流れ、東根市神町を通り最上川に流れ込んでいる。 関山トンネルを宮城県側から抜けると、すぐ好ポイントが連続。 国道沿いのいたるところから入渓できるが、落差があるのでけっこうキツイ川である。
尚、この鈎は非常に浮力が強いので、真夏の荒瀬を攻めるのには最適と、言える。 白泡にバシバシ打ち込んで、どんどん魚をひきずり出そう!!
イミテーション--まね 。模倣。
フライの多くは実存する昆虫の幼虫や成虫のイミテーションである。 イミテーションといっても我々人間の見た目に映る形状の模倣というより、水面あるいは水中での魚の目に映る状態の模倣と言うべきである。
もちろん見た目にも何をモデルにしたものであるかすぐにわかるフライもあるし、全くわからないフライもある。 が、根本的なフライのコンセプトは、人間が魚の目に映るであろう形状、状態を推測したところにある。 アトラクトを加えてフライに様々な演出をする事も含めて"イミテーション"の持つ意味は広いエリアで考え、オリジナルな工夫をしたいものである。
1.アイの付け根からシャンクの全長2/3ぐらいまでファンデーションスレッドを巻く。
2.ファンデーションスレッドを止めた位置にあわせてテールをつける。余分はアンダーボディとする。
3.ボディハックルはファイバーの短いものを選ぶ。
4.テールの上にボディハックルをとりつける。
5.スレッドをシャンクのベンドの位置に戻し、ダビングしたファーをシャンクの全長2/3ぐらいのところまで巻く。
6.5の上にボディハックルを巻く。
7.モトルド(スペックルド)ターキークイルを左右一対、7~8mm幅にカットしウイングとする。ボディの終わりのところにウイングをとりつける。
8.ウイングの余分をカットしグリズリーとブラウンのハックルをムラなく巻く。ヘッドセメントをたらして完成。
ネイルノットはソフトプレゼンテーションに必要不可欠。特にイギリス毛鈎には有効なので、覚えておくと便利である。
(自然倶楽部1989年7月号 38-39P)