自然倶楽部 1989年1月号 44-46P
試してみよう不思議なオリジナルフライ あの川、この毛鈎
一つの毛鈎が、一つの川で、一つのシーズンを通して魚を出す確率が高い、そんな経験を持っているフラィマンも多いはず。
例えば○月×目、3人の釣行。 同行者2人がオデコなのに自分だけ釣果あり。 それも決まって同じ毛鈎に魚がでてくる。
次の日曜、同じ川、同じメンバー。 やはり同行者2人ともオデコ。 しかも渓で出会った釣り人のほとんどが同行者2人に同じ。 なのになぜか自分だけ釣果あり。 魚が元気よく飛び出してくるのは、前回と全く同じ毛鈎。
こんなウソみたいな話が、実際にはよくあることで、フライ仲間はこの毛鈎のことを、その川のアタリ鈎と呼んでいる。
いろんな川の過去のアタリ鈎。
少しでも今後の釣行の参考になれば…。
自然倶楽部はそんな読者のマル秘報告を連載で取りあげることにしたのです。
'88の大倉川の状況は、シーズンを通して天候不順や、たび重なる増水による渓相の変化に泣かされ、といった泣かされパターンが多く、例年に比べ落ちついた釣りのできる日が少なかった。 詳細をいくつか拾ってみよう。
といった状況が続き、魚に出会う機会は少なかったといえる。
その中でも、使う度にヤマメが飛び出してきた毛鈎を紹介したいと思う。
1.バイスにフックを固定して、ウイングを取り付ける部分(アイ側から1/3)にファンデーション(下地)スレッドを巻いていく。
2.ウイング材であるマラードダックの上部をカットする。
3.取り付けたウイングを立てる。
4.ウイングを左右に分ける。
5.ウッドダックの毛先をそろえて切りとったファイバーをテールとする。
6.ボディ材のフライライトをスレッドに撚り合わせる。
7.スレッドと撚り合わせたボディ材をゆっくり巻きつける。
8.巻き終わりはウイングの付け根と少し間隔をとるようにする。この間隔がハックルのスペースとなる。
9.ハックルを取り付ける。
10.ハックルをシャンクに巻きつける。フェザーをつぶさないようにムラなく巻くのがコツ
11.ハックルガードと併用してフィップフィニッシャーでアイを巻く。
12.完成。
テールだけハックルファイバーに変えたものと比較。水面上ではこんなに浮き方に差が出てきます。どっちがいいかって?
自分で考えましょう。
この鈎のポイントは、"浮力材は絶対に使わない""ソフトで正確なプレゼンテーションを行う"ことである。 ぜひお試しを。
(自然倶楽部1989年1月号 44-46P)