三浦剛資作品集

釣りえっせい

2002.6.24 update

はじめに

このエッセイは宮城県仙台市にお住まいの三浦剛資様が仙台を中心に人気のあるミニコミ紙「河北るぽ」の「釣りえっせい」コーナーに2年間にわたり連載されたものである(連載は現在も継続中)。

今回、三浦様ならびに「河北るぽ」誌の格別のご厚意により当Web Pageへの掲載をお許しいただきここに掲載させていただくことになった。

なお当Web Page中のリンクについては当Web Page管理者が個人的趣味で勝手に張ったものであり、また目次/タイトルについても同様である。

目次


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フライ・フィッシング

フライ・フィッシングといえば、西洋式の毛鉤釣り。 30年ほど昔でも知名度は高かったが、外国の釣りのイメージが強く日本でフライ・フィッシングが出来ることを知る人は少なかった。

最近のアウトドアブームのおかげで「ヤマメ」と「イワナ」がフライ・フィッシングの対象魚であることは多くの本で紹介されたが、さてどこに釣り場があるかと関連書籍を読んでも多くが東京を中心に書かれている関係で、山深い渓谷の釣りとイメージされてしまっている。 事実関東から西の地域では山奥に入らなければいない魚達であるから当然であるが、元々北の魚だから東北や北海道では非常に身近な場所にいる。 ところが仙台に住んでいる人でさえ広瀬川や名取川の中流域にヤマメがいることは意外に知られていない。

広瀬川は都会の中で鮎が釣れる川として有名だが、鮎の解禁日(7月1日)に友釣り仕掛けで30センチを越すヤマメを釣ってしまった人がいる程である。

さすがにイワナとなると多少上流まで入る必要があるが、それでも冬期間は釜房ダムや大倉ダムまで降りてきて越冬しているから、これも決して深山幽谷の幻の魚ではない。

ヤマメなら「釣り場の中に人が住んでいる」といえるような場所にいる。 もちろん季節と共に上流に移動して行くが、毛鉤で釣れる5月頃はそれこそ近所の川で釣りが出来る。

しかも中流域は川幅が広いからフライ・フィッシングの特性を活かす釣りが出来る。

ただ山奥と違いハヤを初めとして鱒科以外の魚も多いから釣り場に通い詰めて魚のいる場所や当たり毛鉤を見付け出さないとなかなか目的の魚には出会えない。 もっとも釣り場が近いおかげで残業の無かった日とか遅番の出勤日など休日でなくても竿を出せるから1ヵ月も通えば大体の見当はついてくる。

餌の状態が良いせいか結構良型に出会えるが、残念ながら水質の関係で獲物の味は良くない。 でもフライ・フィッシングはスポーツフィッシングと割り切り、記念の写真を一枚写してキャッチ・アンド・リリースすれば後にかなりの満足感は残ってくれる。

(「河北るぽ」1999年1月掲載)


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フライ・フィッシングのポイント

3月1日が渓流の解禁日といっても鮎程騒がない。 一部ではあるが1月1日に解禁している川もあるし、何よりまだ多くの雪が残っていて入渓出来ないからだ。 もちろん解禁日から毛ばりで狙う人達もいる。 でも技の限りを尽くしてもほとんど獲物に出会えない。渓流の魚は雪代(雪解水)が出てから活発に動いてくれるからだ。 それにフライ・フィッシングの面白さは、毛ばりを魚がくわえた一瞬に合わせて釣るドライ・フライが最高と思う。 だから川虫が羽化する頃が解禁日なのかもしれない。

前回広瀬川中流域を紹介したが、川幅が広くポイントを掴むにはかなりの経験を必要とするので、それよりやや上流域の仙台近郊の釣り場を紹介しよう。

新川のニッカウヰスキー工場の裏から上流、大倉川なら定義付近から、名取川なら、かんかね温泉付近から、北川なら川崎インター付近から上流。 いずれも人家がそばにあるがヤマメとイワナがねらえる。 魚協が放流しているし新川はニッカも放流しているので魚影は濃い。 成魚放流ではないので育つまで2,3年かかるが、そのおかげで毛ばりやポイント、狙い時などを間違えると本当に魚が居るのかと疑うほど野性に戻っている。

道具は8フィート位の竿と4番のフローティングラインに8フィート前後のリーダー。

底が砂地の場所と水がたるんでいる所を避けて、水通しの良い大きめの石の脇を上流から下流に毛ばりを流す。 こつは遠くのポイントより、正確に近くのポイントに毛ばりを落すこと、無理に小さな毛ばりを使わず着水した瞬間を見失わないこと。 マッチ・ザ・フライなら着水と同時にライズする。2,3度流して当たりが無い場合は上流へ移動する。

これらの川は広瀬名取漁協の鑑札ですべて通用する。 それと川のそばに畑や田があるのでトラクターや耕運機の邪魔にならない場所に駐車するよう注意すること。

(「河北るぽ」1999年2月掲載)


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フライ・フィッシングの戦術

フライ・フィッシングなら主役は毛ばりなはずだが、本を読むとラインの振り方ばかりが強調されやってみたいと思いつつ難しそうなので敬遠してしまう人が多い。 でも毛ばりが見えなくては釣りにならないし、まして一番ヒットする時間帯が日没直後だから、せいぜい7,8メートルもラインを出せれば仙台周辺の川なら十分である。 その代わりフライを落すポイントは極力正確に。 ピンポイントとはいかなくても、宅配ピザ位の大きさに入れられれば大丈夫。

解禁直後はまだ水が冷たいからニンフかウエットと思い勝ちだが意外にこの頃はドライでヒットする。 ただしミッジと呼ばれる極小のフライを使うが、これもまとまった雨が降るまでの短い期間のみ。 雨が降って雪代が出ればニンフの出番。 錘をかまして底まで沈めて目印で当たりを取って、何てことはない餌が川虫に似せたフライに代わっただけのこと。

雪代が収まればシーズン開幕と言いたいが、ちょうどこの頃田起こしが始まり続いて田植えになる。 川から水を引くから水位が落ち着かないし、雨も降っていないのに泥濁りになったりする。 現場に着いたら川より先に田の状態を確認する。

名取川なら大滝まで、新川なら八森まで、北川なら古関まで影響を受ける。 上流なら影響はないがその分水温が低くドライフライで釣りが出来るのは5月も半ば過ぎてから。

沈めて釣る「ニンフ」や「ウエット」は、基本的に水の中での魚の動きを知っていないと釣りにならない。 餌釣りやルアーフィッシングを経験してからフライの世界に足を踏み入れた人達のほうが、この点では一枚も二枚も上手である。 もし釣場で餌釣りの釣師に出会ったら場所を譲って見学させてもらうと得るところが多い。

(「河北るぽ」1999年3月掲載)


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ウエット・フライ

フライ・フィッシングの主役毛ばりには幾つかの種類がある。

水面に浮かぶ「かげろう」をまねたドライ。 錘をかまし底近くを泳ぐ水生昆虫に似せたニンフ。 小魚の動きをまねて積極的に動きをつけるストリーマー。

そしてもう一つウエットがある。 が実は何をモデルにしているのか未だに分からない。

名前が示すように水中で使うがニンフの様に底まで沈めないで水面直下を流す。 フィッシング・エリアなどではストリーマーのように動きをつけることもあるが、自然の川では上流から下流へ流れに乗せるだけ。 ドライ・フライならフッキングしなくても、魚がアクック(ライズといいます。)することで当たりばりの確認が出来るが、水中を流れるウエット・フライではラインの動きと竿先の変化でフライの状態を間接的に確認する。 だからフライを正確にポイントへ送り込むには水の流れ、石の配置、底の状態など表に見えない部分を知ることが必要となる。

ウエットのタックルはドライに比べて毛ばりが大きくなるのと、ドロッパーといって誘うための毛ばりを付けて2本ばりになることもあるので9フィート位の竿で5番か6番のシステムが必要になる。

このウエット・フライは大物相手の時や大きい川などで特に威力を発揮する。

一回目に紹介した広瀬川のヤマメは、ウエット・フライによるものである。

大橋の下流花壇付近、牛越橋上流三居沢付近、それに郷六仙山線鉄橋付近などで雪代がおさまった頃からウエットでヒットする。 季節と共に上流に移動するが、条件さえ整えば梅雨明けまで狙える。

なお6月20日から鮎の解禁日までこれらのポイントは川止めになるので要注意。

(「河北るぽ」1999年4月掲載)


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ドライ・フライ

フライ・フィッシングをしたいと思ったらドライ・フライから始めるとよい。 時期と場所さえ間違えなければ浮いている毛ばりに魚の方から飛びついてくる。 獲物がいることも毛ばりに反応したことも確実に実感できる。 でも毛ばりを喰わえた一瞬に合わせなければ絶対にはり掛りしないから、逃げる魚を見送りながらビギナーを思い知らされる。 悔しい思いをしながらも何度か川に通えば一匹目をものにするまで大した時間は掛からない。

手元に魚信が伝わった時「釣れた」ではなく「釣った」と感じる瞬間である。

さて、ドライ・フライの最高のシーズンといえば5月から6月。 雪代が終わって気温が上がると「かげろう」の羽化が始まる。 毎日少しずつ羽化するが、大倉川なら定義付近、北川なら古関付近の広くて浅い通称プールと呼ばれている場所で一年に一度5月の中旬から下旬頃に一斉に羽化(スーパーハッチといいます)する日がある。 川底に泥や落ち葉が溜まり普段は魚の姿が見えない場所に数日前からヤマメやイワナが集まり、あちこちでパシャ、パシャと飛び跳ねるのが見える。 フライを落とすと待ってましたとばかり着水直前からアタックしてくる。 一年のうちで一番ドライ・フライが真価を発揮する時期である。

スーパーハッチの当日、陽が落ちて暗くなり始めた頃の数分間、吹雪のように一斉に舞上がる「かげろう」の群れは正に圧巻である。 そして翌日は何事もなかったかの様に魚の姿が見えなくなる。 そして、この日を境にヤマメのいるポイントや当たり毛ばりが変わってくる。 一年に一度、非常に短時間のことなので長年フライをしていても出会ったことの無い人が多い。 しかしスーパー・ハッチまでの3,4日間を体験することは仙台に住んでいれば十分に可能である。

(「河北るぽ」1999年5月掲載)


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梅雨

6月といえば梅雨。梅雨といえば「ヤマセ」。 6月の末から7月にかけてストーブが必要なほど寒い日が珍しくない。毎年のことで当然と思ってしまうが、実は東北地方の県庁所在地でこれほどはっきり「ヤマセ」の影響を受けるのは仙台だけである。

この時期薄日の差している日に国道48号を西へ向かえば、白沢辺りは曇り新川のレンガ作りのウィスキー工場が霧の中に見え隠れし作並を越して関山峠は小雨。 ところがトンネルを抜けた途端青空が広がって、まぶしい太陽が輝いているのが典型的な仙台の梅雨。

元々冷水に住む北の魚である山女魚と岩魚だが「ヤマセ」が吹いて急激に水温が下がると春先のドライ・フライでライズを始めた頃よりは水温が高くても、ドライは勿論ウエットやニンフでも反応しなくなり、梅雨入り前はあれほどいた魚達がどこに隠れたかと思うほど見えなくなる。

うっとおしい季節だが、大物がドライ・フライにヒットする確率はこの時期が一番高い。 梅雨といっても連日寒さが続く訳ではなく、時々東風が止むと晴れ間が出て夏の太陽が照りつける。 この日の夕方が待ちに待った時。 一番昼が長い季節なので仙台市内からでも、仕事が終わってすぐに現場に向かえば、大倉川や北川なら十分に間に合う。

水かさが増して川幅も広くなり流れも変わっているが、瀬の中で魚が居着くポイントは同じなので、梅雨入り前に石を確認しておくと釣果に反映する。

梅雨も中程になると魚も慣れてきて、曇っている日でもヒットする様になるが、寒い日はイブニングライズにこだわらないほうがよい。 こんな日は毛ばりにライズする回数が極端に少なくなるが、大物が小さなライズでアタックしてくるので、フライが着水する瞬間を見逃さないようにする。 梅雨入り前よりリーダーもフライもひとサイズ上げておいたほうがよい。 通い慣れた川でも暗くなって帰り道を見失わないよう事前に調べておくこと。

(「河北るぽ」1999年6月掲載)


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鮎毛鉤

7月は鮎が解禁。 渓流が空くのでフライ・フィッシィングのファンも喜ぶ月。 でもフライが出来るのは梅雨明け1週間位まで。 水温が上がり釣りにくい季節に入る。源流に入るか遠征するかのシーズンに入る。 それなら鮎を釣っては如何だろうか。

鮎といえば友釣りが有名だが、毛ばりで釣ることも出来る。 深い淵(ドブ)で鮎を釣るのでドブ釣と呼ばれていて、広瀬川なら愛子上流のホテル奥仙台裏の淵か熊ヶ根の大倉川との合流点がポイント。 本格的にドブ釣りをするには9メートル以上の竿が必要だが、もっと気軽に毛ばりで狙う方法がある。 鮎は瀬の中に自分の縄張りを作るが、総ての鮎が作れる訳ではない。 縄張りを作る瀬はせいぜい腰くらいの深さまでで、近くの2,3メートルの深さの場所に縄張りへ入れない鮎が沢山いる。 このような場所を毛ばりで狙う。 ウェーダをはいて腰位まで入るなら、竿は6メートル前後で5号の錘を下げることが出来る、いわゆる万能竿でもよい。 毛ばりは、昔は「青ライオン(毛ばりの名前 )」さえあれば良かったが最近は放流の鮎が増えたせいか他に「お染」「あみだ」「黒仙石」「苔虫」など。

数年前のことだが、名取川の竹の内橋上流の友釣区にある同じ条件の場所で「鴨緑江(おうりょくこう)」で100匹以上の大釣りがあった。 広瀬川なら霊屋橋から牛越橋の間にポイントが点在している。 調節器で糸の長さを決めたら、静かに上下するだけ。 中層の流れに毛ばりを乗せて流すのがこつ。 錘が底に着いてコツンと感じる場所が鮎の溜まり場。 もし柔らかい感じがしたら瀬から追い出されたハヤが溜まっている場所。 友釣りが昼間の釣りなのに対して毛ばりは、やはり朝夕がよい。

なお、広瀬・名取川の入漁券は鮎とその他の魚を区別していない。 また堰堤の上下等の釣り禁止区間を除いて毛ばり釣はどこでも竿を出せるから安心して鮎を釣れる。

(「河北るぽ」1999年7月掲載)


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盛夏

梅雨が明けて10日もすると渓流の水温が上がり朝夕でも釣りにくくなってくる。

雨が降った翌日のモーニングライズや、夕立ちがあった日のイブニングライズで多少釣果があるだけで岩魚や山女魚も夏休みに入っている。 この時期はキャンプに出かける人も多くフライのタックルを持って行く人もいると思うがシーズン中一番釣りにくい時期なので上流部付近でキャンプをしていても結果は期待しないほうがよい。 早起きして少しでも水温が下がっているモーニングライズを狙うのが懸命。 冷たい水を求めて源流まで入りたくなるが、登山並みの完全装備でなければ、とても無理。 キャンプのついでには事故の元。 さて8月も中旬が過ぎた頃、暑かった日がうそだったような涼しい風が吹き始めると、産卵行動にはいる前の大物が動き出す。 6月頃と違い日の出は遅く朝の気温も下がっているが水温はまだ高いのでイブニング・ライズでもチャンスはあるが、モーニングライズの方が大物に巡り会える確率は高い。 もし早朝に淵の中で大きな魚がジャンプしているのに出くわしたら今シーズン最後のチャンス。

しかし川の水は澄みきっているし、相手は百戦練磨のつわものだから、慎重にフライを落としてもライズは一度だけ。 まして掛け損なったらもう2度と出てこない。 ヒットさせられなくても、出会えただけで満足出来れば達人。 たいていは何度か通う羽目になるほどの大物に出会える季節である。

運良く釣り上げても、この時期の魚はもう「さび」(婚姻色)が出初めていて山女魚は黒ずんでいるし、岩魚も黄色くなっている。 卵も大きくなっているのでスケールと一緒に記念写真に収めたら将来のためにリリースしてほしい。

宮城県の渓流は9月1日から禁漁になるので、年によっては最後のチャンスが来る前に漁期が終わる場合もある。 又、北川や大倉川で熊に出会った話を聞くのも、毎年この頃が多い。

(「河北るぽ」1999年8月掲載)


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禁漁後(釣り堀編)

9月になれば宮城県は全面禁漁。 でも、どうしても渓流でヤマメやイワナを釣りたければ、まだ禁漁になっていない山形や岩手などに行くしかない。 人の心理として遠くまで行けば釣れると思い込んでしまうが、釣りマップや最近ならインターネットで最新の情報を入手しても、必ず釣れるとは限らない。 たとえ毎年行く川でもシーズン最盛期に現場を確かめておく必要がある。 それでも秋はひと雨ごとに魚が移動し短期間に状況が一変するので、前回の実績は役に立たなくなる。 当然であるが入漁券は必ず入手すること。 又、9月中旬過ぎは禁漁になる河川もあるので注意が必要である。 釣りマップのデータが間違っていることもあるので、調べておいたほうがよい。

さて、いまさらそう言われてもとゆう人にはフィッシング・エリアがある。 早い話イワナやヤマメを放流してフライ・フィッシングで釣りが可能な「釣堀」である。

宮城県内にも数箇所あって、自然の川をせき止めている所、川のそばに池を掘っただけの所、本格的に休憩設備の整った所など、それぞれ特徴があるので自分の気に入ったエリアを選べば良い。 料金は時間単位になっていて釣った数には関係無い所が多い。 ほとんどのエリアでリリースは強制されないが、「病気の原因になる」とリリースを嫌う所もあるので事前に聞いておいたほうがよい。 タックルは日頃使っている竿やラインのままでよいのだが、釣り方はフィッシング・エリア独特の方法が必要である。 渓流での釣りとはまるで違うが、それを初めから割り切ればシーズン・オフでもそれなりに楽しめる。

関東周辺の釣り場は解禁直前に成魚放流している川が多く、フィッシング・エリアで釣っているような感じがする。 渓流で釣りをする人にとって仙台がいかに恵まれているかを認識させられる。

(参考)宮城県内の管理釣場

(「河北るぽ」1999年9月掲載)


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禁漁後(海釣り編)

川釣のファンにとって10月になれば東北地方の渓流はどこも禁漁。 来年の解禁日まで長い休みにはいる。でも秋磯はこれからがシーズン。 川のオフには海で釣るのも楽しい。 色々な釣方があるがプラスチック・ワームで狙う方法もある。 元々ブラック・バス用に開発された物だが、かなり前から海でも使われていて、ソイ(スイ)や真コチ、ひらめなどの高級魚をはじめ多くの対象魚がいる。

道具はスピニング用のバス・ロッドがあれば最高だが、ポイントを探って釣る方法なので片手で操作出来る程度の投げ竿でも固めの磯竿でも良い。 ワームはイソメやゴカイに似たカラーもあるが、蛍光の白やピンクにもヒットする。 3インチから4インチ位のワームを数色用意する。 それとジグ・ヘッドといって錘の付いた専用のはりが必要。 遠くに飛ばすのではなく手前を探りながらワームを動かして魚を誘う釣なので、根掛かりしないよう5グラム前後の物が良い。

仙台の近くなら七ケ浜の花淵港や奥松島周辺のテトラ周り。 底が砂地なら真コチやひらめ がヒットする。 ドライブがてら出かけるなら女川原発近くの塚浜や小屋取、寄磯など。

潮の時刻と風向きに注意すれば1月末頃まで楽しめる。 真コチは夏がシーズンだがソイ(きつねめばる)はこれからが本番。 でもいずれの場所もアイナメ(ねう)が一番釣れる。 小骨が多いので仙台ではいま一つ人気が無いが、実は高級魚。 調理の仕方にコツがある。 鱗を取ってから三枚におろし皮ギリギリまで3ミリ位の間隔で骨切りをし唐揚げにする。 片栗粉はハケを使って全体にまぶしてから5分間程なじませ、はじめ低い温度で火を通しもう一度高温で揚げるとカリッと仕上がる。

しょうがを隠し味に加えた甘酢あんかけにすると皮も小骨も邪魔にならず絶品。

(「河北るぽ」1999年10月掲載)


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ハヤ

広瀬川は鮎をはじめ多くの種類の魚がいる。 中でも一番ポヒュラーなのはハヤ。 産卵時期に鮮やかなオレンジ色の線が入るのでアカハラとも呼ばれる。 下流から上流までどこでも姿を見るが上流ではヤマメに中流では鮎に追い出されていつも隅にいる。 でも秋から冬はハヤが主役。 鮎釣やヤマメ釣の最中に掛かるとつい外道と思ってしまうのは、川魚特有のクセがあり小骨が多く食べるにはいま一つだから。 だが本格的に狙うと結構楽しい。 リリースするつもりなら他の魚がシーズンオフの時期貴重な存在である。

季節に関係無く釣れる魚なので色々な釣スタイルがある。 一般的なのはサシかイタドリを餌にする玉ウキ仕掛けや、30センチ間隔で5,6本の毛ばりを結んだ流し毛ばり。 深みで大物を狙うならイカの内臓を練り込んだ餌で吸い込みばりと投げ竿で釣るぶっ込み釣。

真冬にタラコを厚めの新聞紙に挟んで水分を取り短冊状に切って餌にする寒バヤ釣。

変わったところではトンボの羽を切って生きたままはりに付けて水面を流すトンボ釣。

フライ・フィッシングやルアー・フィッシングでも楽しめる。 20センチ前後が普通に釣れるサイズだが時々40センチオーバーの大物が掛かる時もあり油断できない。

昔は目の良い魚なので簡単に釣れない魚だったそうだが、細くて強いナイロンテグスが出来てからだれにでも釣れるようになった。 それでも秋は水が澄んでいるので極力ハリスを細くするのと、餌釣りならウキ下を正確に調整するのがコツ。 竿は場所によって4.5mから6.2m位。

広瀬川なら名取川の合流点から熊ヶ根までどこにでもいるが水温が下がってくると湧き水のある所に集まってくる。 天気の良い日なら真冬でも釣れるがポイントは限られてくる。 秋は川の水も少なくなって河原が広くなっているから、足場の良い場所で子供連れで楽しめる。

(「河北るぽ」1999年11月掲載)


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燻製

北風が吹き始めると釣りに行くより仕掛けを作ったり道具の手入れをしたりして過ごす日が多くなる。 こんな季節はスモーク(薫製)を作って見てはいかがだろうか。

手始めに練習を兼ねてサンマ。 材料は「ひらき」を用意する。 大きめの鍋にスモークダストかチップを敷き詰め、油が直に落ちないようアルミホイルを間に入れてから網に魚を並べる。 薫煙時間は細火で20分から30分。 出来てすぐより2,3日ベランダでぶらさげておいたほうがよい。 強烈な煙の匂いが飛んでスモークの香りだけが残る。

本格的に始めるなら専用のスモークボックスを用意しなければならないが、煙が漏れない箱で燃えにくければ何でもよい。 多少大きい方が均一に煙が回るから使い古しのロッカーなどは最適。 おいしい薫製を作るには薫煙にかかる前の処理が一番大切。 塩かげんと干しかげんで全てが決まる。 一夜干しの一歩手前になればOK。 もう少し干せば焼いただけでおいしく食べられる位の仕上りが必要。 薫製になれば大丈夫と手抜きすると失敗する。

20年程前ブームがあって国産や輸入品の道具がどっと出回ったことがある。 全国で多くの人が薫製作りに挑戦したが、温度管理に手間が掛かり、しばらくすると話題から遠のいてしまった。 例えばスモークサーモンなら塩浸けと影干しに5日、低温でゆっくりとした薫煙に3日、そして寝かしに10日。 その間十分な温度管理が必要で、ベーコンや生ハムなら更に数週間から数ケ月もかかる。 今では自然条件に恵まれた場所にいて、この日数が必要なことを理解した人だけが作り続けている。

仙台の冬は薫製作りに申し分の無い天候になるので温度管理が楽に出来る。 ぜひ今年の冬は挑戦して見てはいかが。

(「河北るぽ」1999年12月掲載)


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オフ・シーズン

新年明けましておめでとうございます。 本年もよろしくお願いします。

1月の釣りと言えば30年位前までは井戸浜付近の貞山堀でヒャクヒロゴカイ(イトメ)を餌に寒鮒を狙う釣り人達で大いににぎわっていたものでした。 その後道路事情が良くなって貞山堀が使われなくなるとともに水通しが悪くなったせいか魚の姿が見えなくなり、今ではそんな釣りがあったことを知る人も少なくなりました。

さて冬場の淡水の釣り物といえばワカサギか寒バヤ。 でも県内では殆どの釣場で氷上釣りが禁止されているのでおのずと場所と釣り方が限定されてしまいます。

遠征するなら福島の檜原湖か岩手の岩洞湖。 いずれも十分な防寒対策と気合いを入れて厚い氷に穴を開ける必要がありますがワカサギ以外の大物がヒットする楽しみがあります。 ところで宮城県には14の内水面の漁協があり、渓流の解禁日を3月1日にしている組合が多いのですが、実は県条例では1月1日が解禁日なのです。 仙台では七北田川水系は組合がないので既に解禁している川です。

でも雪も寒さもこれから厳しくなるので解禁したのも束の間すぐに自然の禁漁状態になります。 それに突然の大雪で遭難騒ぎを起こしてもいけません。 運よく釣れてもまだサビの取れていないヤマメばかりなので、本気で狙うより今年の大漁を願ってリリースするのがいいかも・・・。

解禁日は遅くすることが出来ても期間は延長できないので9月1日からは県内総ての河川が禁漁になります。 出来ることなら県条例を改正して3月1日解禁、9月末禁漁にしてもらいたいと思っている釣人は多いと思うのですが、正夢にならない初夢でしょうか。

(「河北るぽ未掲載)


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解禁

3月1日、宮城県はこの日からすべての渓流が解禁となる。 でも待ってましたとばかり奥に入るのはまだ早い。 特に昨年は禁漁間際に最後のいい釣りをした人が多かったので、つい良い思いをした場所に足を向けたくなってしまうが、雪をかきわけ奥まで入っても魚の姿は殆ど見えない。 晩秋に下流まで降りてしまっていて、雪代が出なければ狙上してこないからだ。 途中にダムがあればワカサギなどを餌に越冬しているから、本格的な雪代が入る3月下旬頃までは、大倉ダムも釜房ダムもスプーンで狙うと銀毛化したヤマメやイワナがヒットする。 ダムの魚は小魚を餌にしているせいか口が固いので十分なあわせをしないと手元でばれて悔しい思いをする。 どちらのダムも数時間の周期で回遊しているので、あちこち場所を変えず、かけ上がりを狙えばチャンスは巡ってくる。 またこの時期は広瀬川や名取川の中流付近の大きな淵でもスプーンにヤマメやイワナの大物がヒットする。

フライで狙うなら、初期はニンフと思ってしまうが雪代が出る前の川は透明度が高く水量も少ないので、条件が整えばミッジと呼ばれる極小の毛ばりにヒットする。 日当りのよい場所で魚の隠れる所があれば狙って見る価値はある。

雪代が出始め濁りが入る時期になったらニンフが良い。 ただ急激に水温が下がるので午前中が狙い時になる。 それと天気の良い日は急に増水して帰りに渡川出来なくなって対岸に取り残されるので十分注意がいる。

太平洋側では彼岸を過ぎるまでは大雪が降ることがある。 一雨降って、大風が吹いて水の濁りがやや薄まってきた頃が本当の解禁日かもしれない。

(「河北るぽ」2000年3月掲載)


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渓流釣り

初めにうれしいニュースを。今年から宮城県も9月末まで渓流でヤマメとイワナを釣ることが出来るようになりました。 これで9月に岩手や山形まで遠征しなくて済みます。

さて、4月になれば大抵の渓流で雪代も一段落しヤマメもイワナもサビが取れて渓流の主にふさわしい姿となってシーズン最盛期に入ります。 でもこれは餌釣とルアーの場合。

新川、大倉川それに二口などの上流ばかりではなく広瀬川の中流、大橋から牛越橋の間でヤマメを狙うのもこの頃が一番。 6メートル以上の竿が必要ですが、底に石の入っている場所か岩盤のえぐれを探れば数は少ないものの、かなりの大物に出会えるかも。

餌は水が澄んでいればダイコクかキンパクなどの川虫。 笹濁りならブドウ虫、やや濁りがきつければミミズ。 また水深のある場所で5グラムから8グラム位のスプーンで狙っても良いでしょう。

フライで狙うにはニンフならシーズン真っ盛りですが、ドライフライは桜の花が咲き終わる頃まで待ちましょう。 でもドライで出始めてもイブニングライズを待っていると気温が下がりフライに反応しなくなります。 毎日少しづつ時間がずれて行きますが、この季節は午前午後共水面に日が当たっている時間帯が狙い時です。 暗くなってからライズするのはもっと先の季節。

4月も後半になると水温も気温も上がり条件的には申し分の無いシーズンになりますが、ちょうどこの頃から田植えの準備に入るので川の水が突然濁ったり、水量が大きく変化して釣りにくくなってきます。 川にはいる前に周りの状況を良く見て置かないと全然釣りにならない場合があるので注意が必要です。

(「河北るぽ」2000年4月掲載)


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スーパー・ハッチ

いよいよドライフライのシーズン到来です。 3月の解禁からミッジやニンフなら狙えるといっても、やはりフライは水面にフワリと落ちた瞬間からヒットするまでの数秒間一瞬も目を離せない緊張が何とも言えないドライが一番面白いと思います。

5月に入るとすぐにゴールデンウィークがありますが、この期間の前後はは東北地方のどこへ行っても田植えの最盛期です。 そのため川の水の変化が大きく非常に釣りにくい時期です。 現場に着いたらあたりを見回して田植えが済んでいることを確認してから竿を出しましょう。

さて、5月の中旬過ぎの夕方、水面に大量のカゲロウが飛び交う場面に出会ったら、それは非常に貴重な体験をしたことになります。 スーパー・ハッチといって1年に一度だけ夕方のわずか数分間だけの現象です。 早朝の釣りを得意とする餌釣師の間でも、ある日突然川虫が取れなくなる現象として知られています。 フライ愛好者の間では本などで知っていても体験した人は少ないようです。

釜房ダム上流の北川では昨年は5月21日に一昨年は23日にスーパー・ハッチがありました。 私が記録しているデータによれば毎年この日付近に発生しています。 年によってはスーパーとは呼べない場合もあり、又天候に大きく影響を受けるので直前まで発生日は特定できませんが、日暮れまぎわから日没後の間に起きます。

仙台でフライ・フィッシングをしているのなら、今年はぜひ体験してください。

そして、この日を境にヒットするポイントとフライパターンが変化します。

(「河北るぽ」2000年5月掲載)


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てんから釣り

6月はフライフィッシングの最高のシーズンです。 水面の虫を捕食しようとヤマメやイワナが瀬に出て待ち構えているので、梅雨にはいるまでは一年で一番釣易い時期だからです。 朝は水面に日が差し始めてから数時間、夕方は日没から毛ばりが見えなくなるまでの数十分間がベストタイムです。 仙台に住んでいる人なら仕事が終わってから大倉川や名取川それに北川などで竿を出せる季節です。

さてフライ・フィッシングはちょっとと思っている人は和式の毛ばり釣り「てんから」をしてみてはいかがでしょうか。 道具は3mから4m位の竿と毛ばりそれに専用のラインだけ。 昔は馬の尻尾毛をテーパーがつくように撚り、現場で水に浸してから使っていましたが、現在はフライラインのメーカーが「てんから用ライン」を作っていますので竿の長さに合わせてカットし先糸を結べば出来てしまいます。

渓流竿は硬めの先調子ですが、毛ばり用の竿は硬めの胴調子で手元に30センチ位のコルクの握りがついているのが特徴です。 ラインの重さとテーパーを利用して正確にポイントに毛ばりを落とす必要があるので専用の竿を準備したほうが良いでしょう。

毛ばりは各地に「ご当地ばり」がありますが、こだわらなければ12番のドライフライで構いません。 特にパラシュートフライは見やすく浮力も十分あるので使いやすいはりです。 釣場は水中に石がゴロゴロある瀬。 その中でやや大きめの石の際がポイントです。浅い岸近くの石の陰にも魚がいますので、不用意に川に立ち込むのは避けましょう。

毛ばりが水面に落ちた瞬間から数十センチ流れる間が狙い目。 流し切ると合わせられないばかりでなく、魚に無用の警戒を与えて釣ずらくなります。 3,4回毛ばりを落として反応が無かったら石一つ上流へ移動します。 今の季節なら必ず姿を見せます。

(「河北るぽ」2000年6月掲載)


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気温が30度を越す日が多くなると、渓流釣りは毛ばりでも早朝か、日没直後の短い時間の釣りになる。 この季節に川で釣りをするなら、やはり「鮎」か「はや」。 色々釣り方があるが、ここは毛ばりにこだわってみよう。

フライフィッシングで渓流のヤマメやイワナを狙うなら水面を流すドライや水面直下を流すウエットが主流だが、鮎は錘の付いた天秤を使って毛ばりを深場で静かに底から水面近くまで引き上げながらあたりをとる釣り方をする。 本格的な鮎の毛ばり釣りをするなら3メートル以上の深さがある場所で、竿も9メートル以上の長さが必要になる。

釣場は広瀬川も名取川も下流は合流点から上流はダムの手前まで全域にポイントがある。 基本的に底が岩盤か大きな石が入っている深場(釣り用語でどぶ)が毛ばり釣りのポイントだが、深さが1メートル位しかなくて底が砂地でも一抱えくらいの石が2,3個入っていれば必ず鮎がいて毛ばりを追ってくれる。 このような場所なら腰までのウェーダがあれば竿は6メートル前後でも十分に釣が出来る。

一方「はや」は大きな石がごろごろ入っている瀬から鮎に追い出されていて、小石や砂地の場所に溜まっている。 このような場所を4,5メ−トル位の竿に5本から7本位の毛ばりが付いた「流し毛ばり」でねらう。 狙い時はどちらも朝なら夜明けから8時頃まで、夕方なら4時過ぎから日没まで。

鮎の毛ばりは「青ライオン」「苔虫」「お染」「あみだ」「黒仙石」などだが、出来るだけ多くの種類を持っていた方が良い。 鮎の毛ばり釣りは初期の時期の釣りと思っている人が多いが、8月の中過ぎに初期の頃とは全然違う毛ばりで大型の鮎が釣れるのでシーズンを通して毛ばりだけで鮎を釣っている人もいる。

初期は簡単に釣れる釣りだが、シーズン後半はベテランを悩ます奥の深い釣りである。

(「河北るぽ」2000年7月掲載)


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キス

仙台で砂浜の投げ釣りといえば夜釣りのイシモチが主流。 キスを釣りたいと思ってもたまに釣れてくる程度。 牡鹿半島の十八成浜か原発近くの小屋取まで行けば釣れるのだが釣果はいまひとつ。 ところが日本海まで行けば鶴岡から酒田周辺それに象潟付近の砂浜なら型の大小と数を問わなければどこの砂浜でもキスが釣れる。 山形自動車道も西川町まで延びて鶴岡が近くなったし、酒田へ行くのも尾花沢から新庄へ向かう途中の狭くて急坂だった猿羽根山トンネル付近に自動車専用道路が開通したおかげでずいぶん早くなった。

朝9時頃仙台を出発すれば昼過ぎに目的地に到着出来る。 朝夕がベストタイムなので陽が沈む6時頃まで狙っても明るい時間帯の釣りなので家族連れで楽しめる。

例年なら5月中過ぎに釣れ始まるのだが、今年は山の雪が多くかなり遅れた。 シーズンインした直後が一番釣り易く型、数とも良く徐々に釣果が落ちるのだが、6月末に出かけた時は午後3時から2時間で48匹とシーズンイン直後に匹敵する釣果に恵まれた。

夏休みが始まるとどこの砂浜も海水浴場になるので、とても釣りをすることが出来ないが休みが終わる8月の末からシーズンオフになる9月末までは楽しむことが出来る。

餌は出来ればジャリメ、入手出来ない時は細目の青イソメ。 25号の錘が使える4mの投げ専用の竿と3号150mにテーパーラインを結んだリール。 キス専用ばりの10号を使った3本又は5本仕掛け。

出来るだけ遠くに投げて静かに引き寄せながら巻取ってくると「ブルッ」と当たりがあれば本命のキス。2,3度投げて当たりがなければ少しづつ移動してポイントを見つけるのがこつ。

釣れたキスは「テンプラ」が最高。 ハゼとは違ったおいしさがある。 もし20センチを超す大物に出会えたら活きの良いキスでなければ味わえない「糸作り」が良い。

(「河北るぽ」2000年8月掲載)


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へら鮒

釣りは鮒に始まって鮒に終わると言いますが、昔なら貞山堀の真鮒釣り、今ならやはりへら鮒釣りでしょうか。

仙台の周辺でへら鮒の釣れる場所といえば釜房ダムや大倉ダムそれに愛子の西勝沼などですが、釣り禁止になっていなければ団地を造成した際の遊水池や灌漑用の池など、身近な場所で出来る釣りです。 四季を通して楽しめる釣りですが春と秋がへら鮒釣りには良いシーズンです。 餌は真鮒釣りと違ってミミズや赤虫などは使いません。 マッシュ・ポテトや焼麸を粉末にした物を主材料にした練餌を使います。 これらの餌は更に色々な集魚材を加えて粉末の状態で市販されていますので、水を加えれば現場ですぐ作ることが出来ます。

練餌ですから、水に入ると少しづつ溶けて周りに広がって行ます。 何度かこの状態を繰り返すと魚が集まり浮木に当たりが出てきます。 ここで大事なことは浮木から餌までの糸の長さで、へら釣りではこれを「タナ」といいます。 春早くは、「タナ」が底に着いた位でいいのですが、季節と共に変化し時には水面近くまで「タナ」が上がる場合もあります。 特に秋は天候のぐあいで大きく変化します。 正確に「タナ」があえば初心者に大物がかかったり、隣が集めた魚をこちらに寄せられたりします。 このあたりがベテランといわれる釣人でも悩むところで、へら釣りが面白いといわれる核心でもあります。

奥の深い釣りですが、ミミズなどの餌を使わないので結構女性の釣り人も多く年齢を問わずに楽しめる釣りです。

(「河北るぽ」2000年9月掲載)


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秋も押しつまって水温が下がると魚も冬支度に入る。 普段はなかなか釣ることが出来ない大物がこの時期は狙い易くなる。

鯉、特に大鯉も、やはり秋に姿を見せる。 過去に80センチを超す大物が上がったのも、この時期の釜房ダム。 18号の特製の吸い込み仕掛けをセットしたリール付の竿を10本以上も並べ、何日も通って、ようやく出会えた大物だったが、これはやはり別格。

鯉は池や沼の魚と思われているが50センチ位のサイズが名取川、広瀬川、七北田川はもちろん、梅田川にもいる。

鯉は通り道と餌を食う時間や場所が決まっているといわれている。 鯉釣りの名人と言われる人は、そんな場所を何箇所も知っていて、十分に鯉を手なずけてから釣りにかかる。

それでも1日1寸、10日で1尺といわれる位通う必要がある。

餌は十分に蒸したサツマイモかじゃがいも。 直接はりに付けると割れてしまうので穴をあけてハリスの方から通してから道糸と結ぶ。 池や沼にいる鯉を釣るなら吸い込み仕掛けに鯉専用の練餌。 太めの棒浮木で、浮き下は底スレスレにする。

浮木釣りは魚が食ったとき「ツン」あるいは「スー」と沈むのが普通だが、吸い込み仕掛けの釣りでは立っている浮木がふわりと浮き上がり「ペタン」と寝た時が合わせ時。 途中「ピクピク」と動くのは小物がいたずらしているから。 この状態がしばらく続き、やがてばらけた餌をかぎつけて大物がやってくると浮木の動きが静かになる。 ここからが釣り人と鯉の駆け引きのはじまり。

竿はリール付の太めの方が良い。 外ガイドの付いた2号クラスの磯竿と、ひたすら待ちの釣りだから竿掛けは必需品。 いつでも魚の姿を見ることが出来る釣りではないが、釣れた時の喜びは大きい。 たとえ小さくても、それでも鯉は鯉。

(「河北るぽ」2000年11月掲載)


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フライタイイング

ストーブが入る季節は、毛ばりで渓流釣りを楽しんでいる人にとって十分に時間を掛けてはりを巻くことが出来るシーズンです。 まだ巻いていない人はシーズンオフの楽しみにはじめて見てはいかがですか。

一口に毛ばりといってもフライ・フィッシング用のドライ・フライやウエット・フライ、それに日本に伝わる毛ばりで、一般的に「てんからばり」と呼ばれているものから、盛岡毛ばり遠刈田毛ばりなどの地域色の濃いものまで色々な種類があります。

全てに共通していることは鳥の羽をはりに巻付け、虫に似せて作り上げる所です。

巻くための専用の道具はバイススレッドボビンそれとハックルプライヤです。 他にカーブのはさみ針(ダビングニードル)があれば最低限の道具は揃ったことになります。

後は巻きたい毛ばりの材料を揃えれば準備オーケーです。

材料の鳥の羽は現在では大部分が養殖された物です。 一部天然の物もありますが、それらは狩猟が許されている鳥の羽や動物の毛です。

昔は材料を入手するのにかなり苦労していて、洋服を買いに行った試着室のカーペットを胴巻き用にむしってきたり飼っている小鳥の羽根をむしったりしましたが、フライ・フィッシングが盛んになったおかげで今では楽に入手出来ます。

さらに釣りとは関係無しにアートとしてのフライ・タイイングもさかんになり、最近はこれらの人達の展覧会もおこなわれています。

でもシーズンが来れば仙台は広瀬川や名取川で釣りが出来る所ですからヤマメやイワナに気に入ってもらえる毛ばり巻くことから始めましょう。

(「河北るぽ」2000年12月掲載)


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オフシーズンの楽しみ

雪も寒さも例年以上で迎えた新世紀ですが、こんな年は渓流も鮎も釣果に恵まれるといいます。

さて、雪と氷に閉ざされている期間はやはり道具の手入れか仕掛け作りでしょうか。

解禁した直後から必要なのがウェーダ。 底に貼ってあるフェルトは消耗品です。 釣に行く回数にも寄りますが、仙台で釣をしている人なら1年でかなり減っているはずです。

シーズンに入る前に貼り替えておきましょう。 自分で貼り替える時はフェルトのほうを2度塗するのがこつです。 十分に接着剤が乾くのを待って作業をしなければいけません。

完成まで4,5日かかりますから、まだ履けるかなと思っても今の時期にやっておいたほうがよいでしょう。

次に魚をすくう網の点検も大事です。 大きな魚が掛かった時網の目から漏れないよう、よく見ておきましょう。 もし交換する必要があるときは3月の解禁まで時間は十分にありますから、これを機会に網を編むのもいいかもしれません。 枠も作ると結構手間がかかりますが、替え網だけならそんなに難しくありません。 鮎の友釣に使う目の細かい網はプロでも難しいものの一つですが、フライ・フィッシング用の手網(ランディング・ネット)はわりと作りやすい網です。

途中で目を増やす方法と目のサイズを大きくして袋状に仕上げる方法があります。 こつさえつかめば難しくありませんので、何枚か網上げて行くうちに気に入ったものが作れるようになります。

材料に使う糸は「クレモナ」が締まりが良くて編みやすいのですが少量だけを入手するのが難しいので30ポンドから50ポンドのダクロンを利用するのがいいでしょう。 ただ結び目がゆるみやすく編んでいるうちに目の大きさが不揃いになるのが欠点です。 編むための道具「網針(あばり、あみすきばり)」は手に入れにくいかもしれませんが、手に入らない時は竹かプラスティクを削って作れます。

(「河北るぽ」2001年1月掲載)


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解禁日の釣り

3月1日はいよいよ宮城県の渓流解禁日です。 禁漁日を迎える9月30日までのシーズン開幕です。 でも今年は雪が多かったので河原や川岸は積もった雪が張り出していたり、大きな石と石の間に雪がたまって平らになっていて、知らずに踏むと足を取られるようにスッポリと落ちてしまいます。 例年以上に注意してください。

さて、昨年最後の釣を上流部でした人も多かったと思いますが、解禁直後の魚達は雪代が出るまでは、かなり下流の深い場所でじっとしています。 無理に上流部まで入らなくても下流でヤマメやイワナが釣れるのがこの季節です。

フライ・フィッシングのファンにとっては、まだ虫が飛んでいませんからドライ・フライは勿論、雪代が出るまではニンフでも難しい季節です。 フライ・フィッシングのシーズンインはもう少し先です。 この時期はやはり餌釣がメインでしょう。

川虫もまだ取れませんから餌は「ぶどう虫」を使います。 最近は養殖物が多数出回っています。 レギュラーやジャンボ・サイズなど色々種類がありますが、少し黄色がかった種類の「ぶどう虫」が喰いがいいようです。 ダンボールのすき間に入った様な状態で販売されています。 釣場では指が凍えて取り出しにくいので、事前に車の中などで準備したほうがよいでしょう。

雪代が出るまでは川の底が手に取れる様に透き通っていますからハリス(はりを結ぶ糸)は出来るだけ細くするのがこつです。

ヤマメやイワナを釣るには入漁券が必要です。 名取川と広瀬川は下流から上流まで1枚の入漁券で入れます。 7月1日からは同じ入漁券で鮎にも使えます。 今年はすでに発行されています。出かける前に忘れずに用意してください。

(「河北るぽ」2001年2月掲載)


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仙台周辺のルアー釣り

ルアー・フィッシングが全国的なブームになったのは、30数年前銀山湖で大型のイワナが次々にヒットしたからでした。 一時は専門紙がこぞって特集を組んで、何でも釣れるかの様な印象を与えましたが、やはり得意な魚種があることやベストシーズンがあることがわかってから急速に下火になりました。 しかしヤマメやイワナに恵まれている東北や北海道ではその後確実に定着していきました。

さて、仙台のベストシーズンは3月末から5月の連休直前までです。 特にヤマメやイワナが越冬するダム湖は格好のポイントです。

今から8年前の平成5年はルアー・フィッシングの当たり年でした。 夏に気温が上がらず米が実らなかった年といえば覚えている人も多いと思います。

3月末からヒットが始まり4月になっても気温の低い日が続き、釜房ダムの北川と太郎川の合流点の北岸では、連休の直前まで連日ヒットしていました。

50センチを越す大物こそ出なかったものの40センチクラスの銀毛ヤマメや白の斑点の鮮やかなイワナが多数姿を見せてくれました。

例年ならこの季節へら鮒の「のっ込み」にあたるので、この場所は多くのへら釣の人達で賑わっているのですが、なぜかこの年はへら鮒の釣人が前川に集中したのでルアーの人達が入り易かったこともありました。

この時当たったルアーはスプーンの5グラムから10グラムで、ヤマメは金裏で表がピンク、イワナは銀裏でやや細身の物でした。

例年に比べて雪が多かった今年はチャンスかもしれません。 雪代がおさまるまでねらえます。広瀬・名取川の入漁券が必要です。

(「河北るぽ」2001年3月掲載)


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フライフィッシングのベストシーズン

いよいよフライフィッシングのベストシーズンに入ります。 連休の時期は田植えと重なり川の水が大きく影響を受けて釣にくくなりますから、あたりを見回して田植えが終わっている場所を選びましょう。

さて、この季節は一年で一番寒暖の差があるのに加えて、渓流の魚達が大きく移動する時期でもあります。 わずか数日で魚の影さえも見えなくなってしまうほど動いてしまうことを認識しておかないと、このポイントは先週は釣れたのにとか、去年は釣れた、昔は釣れたと愚痴が始まってしまいます。

地元の川に通い続けている釣人なら、何となくわかってはいても自信を持って断言できるほどには様子が見えず、とにかく下流から釣上ろうとしてしまうのが本当の所でしょう。 こんな時に役に立つのが現場に生えている植物達です。平年より暖かい年、寒い年などを敏感に感じて季節の到来を水温計やカレンダーより、もっと正確に教えてくれます。

中でもぶどうの房の様にたれ下がり紫の花を付ける「藤」と小判に例えられるほど鮮やかな黄色い花の「山吹」は毛ばりで釣が出来るシーズンには非常に参考になる木です。

大倉川や名取川それに北川など、仙台の周辺の川では容易に見ることが出来る花ですから簡単に見つかります。 出来るだけ川の近くに生えている木を自分の標準木として毎年同じ場所の開花を観察し続ければ、やがて魚の動きと花の関係が見えてきて無駄足を踏むこと無くポイントをつかめます。

咲いてしまえばめだつ花ですから簡単に見つかりますが、咲いていないことも重要な情報ですし、大水が出て流されたり河川改修で伐採されたりすることもありますから、出来るだけ多くの木を見つけておいたほうがよいでしょう。

(「河北るぽ」2001年4月掲載)


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ドライフライの釣り

ウェットやニンフなど釣方によって使い分けるフライの中で、フライ・フィッシングといえば水面に浮かべるドライフライが一番面白いと多くの人がいいます。

春と共に水生昆虫が羽化する頃からライズが始まり、5月初旬までは昼前後を除いて明るい時間帯の釣りですが、中旬を過ぎた頃からだんだん朝夕になり、かげろうが羽化する下旬頃には夕暮れを待って狙うイブニングライズのシーズンに入ります。 特に5月末から6月初め頃まではメイフライシーズンといって1年の内で最高のシーズンです。

仙台在住の釣人なら仕事が終わってから現場に向かっても十分にイブニングライズに間に合います。 住んでいる場所や仕事先にもよりますが、大倉川、新川、名取川は勿論、南は北川や前川、北は鳴瀬川と吉田川辺りまでが、平日仕事帰りに寄れる範囲でしょう。

釣り終る頃には辺りが真っ暗になっていますので、帰り道と共に現場の状態を十分に把握している川に出かけましょう。

さて、近くに釣場があれば出かける回数も多くなります。 1年に一度位竿を持たずに釣場に行くことをお勧めします。 現場に着いてウェーダーに履替えて川に立ち込んでしまうと見える範囲がぐっと狭くなります。 さらに毛ばりにライズする瞬間を見逃さない様一点を凝視してしまうので通い慣れた川でも全体を見ること無く帰ってきているからです。

この季節は日が沈んでも石一つ位高い所に上がると、かげろうの動きと魚の動きが手に取る様に見えます。 しかも広い範囲の数ヵ所の動きが同時に見えますので釣をしながらでは絶対得られなかった多くの情報を得ることが出来ます。

水面にいるかげろうに魚がどこからアタックしてくるかを知るとドライフライの正確な流し方が見えてきます。

(「河北るぽ」2001年5月掲載)


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鮎釣りシーズンの渓魚狙い

6月になると名取川も広瀬川もかなり上流まで鮎の姿が見られるようになり、ハヤは瀬から淵に、ヤマメはさらに上流へと追い立てられています。

でも季節は梅雨。仙台の梅雨は冷たい東風ヤマセを伴う「しとしと型」ですから、しばらくすると川の水かさが増え、寒くてどうしようもない状態で、鮎解禁の7月1日を迎えることが多いのです。 友を追わないの、動きが悪いのと、鮎の釣人達からは愚痴が出ますがヤマメやイワナを狙っている釣人にとっては元々冷水を好む魚達ですから、梅雨は誠にありがたいシーズンでもあります。

さて、広瀬川も名取川も中流域のかなりの部分で鮎とヤマメが混成しています。 梅雨が明ける頃にはヤマメの姿はありませんが、解禁の頃は追い立てられるどころか逆に鮎を餌にしている大きなヤマメが友釣ポイントの所々に潜んでいます。

鮎の友釣は昼間の釣ですから午後6時頃には引き上げてしまいます。 一方ヤマメ釣、特に毛ばりで狙う場合はこれ以降の時間帯の釣ですから、鮎釣の人達が居なくなった川に入ることが出来ます。

ヤマメの入っているポイントは、友釣をしている人達を観察しているとよくわかります。 おとり鮎がヤマメのポイントに近ずくと逃げようとして鮎に出会った時とは違う動きをします。 ベテランの鮎釣師だと仕掛けを切られるのを嫌がってそんな場所には近づかないのですが、たまたま掛かってしまうこともあります。

フックサイズはウェットなら6番、ドライなら10番を使います。 どちらを使うかはその日の天候と水温次第です。

なお、6月21日から解禁前日まで中流・下流域は全面禁漁ですから注意してください。

(「河北るぽ」2001年6月掲載)


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梅雨明けのフライフィンシング

7月は梅雨明けの月です。合間の日差しが6月に比べると各段に強くなりました。

渓流の水温も徐々に上がりイブニングライズ狙いから、モーニングライズ狙いのシーズンに移って行きます。 フライパターンもこの時期になるとパラシュートやスタンダードタイプからカディスやホッパーなどのテレストリアルタイプに変わってきます。

でも梅雨最後の大雨があるのもこの季節の特徴です。 朝から雷の音が聞こえたら大雨の前兆と言われています。 すぐに川から上がって車の中に逃げ込んでください。

それと釣場で熊に出会った話を聞くのもこの頃からです。 山の中の餌が乏しくなる一方で里の作物がみのり初めているからです。 名取川の大滝付近や大倉川の定義如来の付近など昼間は大勢の人で賑わっている場所でも、ちょっと離れた川岸で早朝熊が歩き回っている場所があります。 朝釣人がポイントに入った頃、餌を食べ終わった熊が寝倉に戻るようでわずかの時間差で出会った人と出会わなかった人に別れます。 どこの川でも、そばに畑があるポイントは要注意です。

梅雨が明けてしまうとせいぜい10日間くらいで川の水温が上がってしまって釣にくいシーズンに入ります。

梅雨明け後の狙い時は何といっても雨です。 夕立ちや通り雨など河原の石を濡らす程度の雨が降ればチャンスです。 特にどしゃぶりの雨が降った翌日の早朝は、絶好のチャンスです。 もし濁りが少しでも残っていたら意外に思うかも知れませんが、ニンフで狙って見てください。 シーズンインの頃に使ったヘアーズ・イヤー・ニンフなどは、この時期でも良く釣れるニンフです。 春の頃よりはずっとオモリを軽くして使います。

(「河北Weekly」2001年7月掲載)


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真夏のフライフィッシング

8月はフライ・フィッシングにとって一番釣にくい季節です。 中旬から下旬にかけて北から前線が下りてきて秋をもたらしてくれるまで里川のヤマメとイワナは夏休みです。

それならばと夏期休暇を利用してフライ・タックルを持って山の中にキャンプを計画している人も多いと思います。 少し遠出するつもりなら東北地方には川のそばのキャンプ場が多数あります。 予約の必要なキャンプ場もありますから事前に問い合わせてから出かけてください。

10年程前アウトドアー・ブームでやたらとキャンプがもてはやされた頃は、ちょっとでも紹介されたキャンプ場はにわか仕込みのマナー知らずのキャンパー達が騒いでいて、とても鳥の声や風の音を楽しめる状態ではありませんでした。 でも最近はブームも去って落ち着きを取り戻して来ました。

キャンプ場のそばを流れる川は、釣にくい気がしますが、釣人が多くなったおかげで天然の魚は影を潜めてしまい殆ど放流ものになってしまいましたが、数が増えた分だけ釣易くなっています。 漁協が放流した結果ですから、必ず入漁券を入手して下さい。

釣以外の川遊びの人達もいますから、早朝のみの釣になりますが、テントを出れば釣場です。 ここをベースキャンプにして隣の川に出かけてもよいでしょう。

地元の川のように魚のポイントが掴めず結果が出ないかもしれませんが、逆に遠出することで仙台周辺の川の良さを再認識することでしょう。

最後にキャンプは指定の場所でやりましょう。 山の中で人が来ないからとキャンプ場以外の場所でテントを張ることは、自然を壊すばかりではなく、野性動物、特に熊などをおびき寄せる結果になります。

(「河北Weekly」2001年8月掲載)


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禁漁間際のフライフィッシング

渓流の釣は今月でおしまいです。 宮城県が9月いっぱい釣ることが出来るようになったのは昨年からで、この時期の経験が無くて戸惑っている人も多いと思います。

今の季節の渓流魚は2つのタイプに分かれます。 一つは産卵の為、ひたすら上流へ向かう魚達と、もう一つは放した場所からあまり移動しない放流魚達です。 釣の対象にするのはこちらのヤマメやイワナです。 6月7月頃に比べるとヤマメは全体に黒ずみ、イワナは茶色になり、渓流の主や女王の姿はありません。

夏の間瀬に出ていた魚達が淵に溜まり始めるのも、この季節です。普段は魚の影も見えない、思わぬ場所で大釣をすることがあります。 これを忘れられずに解禁早々から同じ場所に入りたがる人がいますが、産卵前の荒食いに遭遇しただけのことです。

3年前までは宮城県が禁漁になった9月はもっぱら岩手県や山形県へ遠征していました。 10年以上昔のことですが、山形県の寒河江川上流の大井沢付近で仲間達とキャンプを兼ねて出かけた時のことです。 朝テントから顔を出すと河原一面の人と鍋。 さすが芋煮会発祥の地とびっくりしました。 そのうち「栓抜きがあったら貸して下さい」とか「缶切りがあったら」など頼まれたお礼に出来上がった「芋煮」が届けられ、釣は出来なかったものの本場の芋煮会に参加させていただきました。

最近は仙台も「芋煮会」が盛んになり広瀬川は奥新川まで、名取川も姉滝の下まで賑わっています。 今の季節の渓流は芋煮会の存在を無視する訳にはいきません。 地元の川に詳しい者として、家族や仲間達の芋煮会を手伝いながら釣をするのもよいでしょう。 あなたは豚肉味噌味の仙台式ですか? それとも牛肉醤油味の山形式ですか?

(「河北Weekly」2001年9月掲載)


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禁漁後はフィッシングエリアへ

東北地方のすべての渓流が10月には禁漁になります。 日に日に寒くなってくる季節ですが、時折暖かい日に虫が飛んでいるのを見ると、ついフライに見えてストレスが溜まる季節でもあります。

そんなシーズンでも釣ることが出来る釣場を紹介しましょう。

青森県と秋田県にまたがる十和田湖は他の川や湖が禁漁になった10月1日が解禁です。 一周60キロもある湖で川の釣とはまるで勝手が違いますが、ヒメマスやサクラマスがヒットする湖なのです。 陸から釣れるポイントもありますが何せ大きな湖ですのでボートからの釣が主になります。 過去に何度かキャンプを兼ねて行きましたが、ポイントをつかむのがたいへんです。 150人位参加した大会でも魚を手にしたのは数名でしたから腕より運の釣かもしれません。

とにかく大物を狙いたいなら岩手県の三陸沿岸沿い、宮古の北、田野畑には「さけ」の釣堀があります。釣堀といっても港の一部を網で仕切って定置網に入った「さけ」を放した大がかりなものです。 きれいな水なので泳いでいる「さけ」が見えるのですが仲々ヒットしてくれません。 ルアーを使って早朝なら釣れるとはいうのですが・・・。

やはり確実に釣れる所なら県内に数ヵ所あるフィッシング・エリアでしょう。

川を区切って自然の中で釣ることが出来る場所や川のそばに池を掘った場所、池は小さいけれど魚は大きい場所など、それぞれ個性を出して営業していますから自分の気に入った釣堀を見つければシーズンオフを十分に楽しめます。

ほとんどの釣堀でキャッチ・アンド・リリースは義務図けられていませんが、リリースをしなくともフックはバーブレス、手を十分水で濡らしてから魚を掴むのがエリアの釣のマナーです。

(「河北Weekly」2001年10月掲載)


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ワカサギ釣り

ワカサギといえば厳冬に氷に穴をあけ、かじかむ手ではりに餌を付け寒さをこらえながら細い竿の先を見ながらの釣ですが、晩秋の頃思わぬ大釣に恵まれることがあります。

遠くの山のてっぺんが白くなり、里の紅葉が散る頃、ダムや沼の水温が下がり魚の動きがにぶくなります。 他の魚釣が一段落した頃なので、つい釣場から遠のいてしまうのですがワカサギが活発に活動を始めるのは、これからなのです。

夏の間姿を見せなかったワカサギがどこからともなく出てきて、岸伝いに回遊を始めるのです。 4.5メートルから5.4メートル位の竿に道糸をつけ、それに5本か7本バリのワカサギ仕掛けをつなぎます。 ハリに餌をつけ一旦錘を底に着けてから静かに最初のハリが見えるまで引き上げます。 遠浅の場所より、岸近くから深くなっている所がポイントです。 回遊する魚なので、当たりが無いからとすぐ場所を変えないで、しばらく粘ったほうがよいでしょう。 小春日和の風の無い日が狙い時です。季節風が吹き始めたら晩秋のシーズンは一段落で、氷が張るまで一休みです。 冬場にワカサギ釣で有名な場所ならどこでも狙えます。

さて、餌は冬場のワカサギ釣に使う「紅サシ」でも「ラビット」でもいいのですが、この時期一番いい餌は「イサダ」なのです。 「イサダ」とは砂浜の波打ち際にいる1センチ程の「アミ」のことです。 20年位前まではこの「イサダ」を使った釣が盛んで海ではタナゴや当才から2才位のクロダイそれにコノシロなどをを釣っていました。 しかし最近では「オキアミ」におされて、今では採集用の網さえも入手が困難になってしまいました。

もし運良く「イサダ」が手に入ったら、これを寄せ餌とつけ餌にして、ぜひ「ワカサギ」を狙って見てください。

(「河北Weekly」2001年11月掲載)


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来年のために渓流の下見

季節風が吹いている日は太陽が照っていても、ことのほか寒さを感じるシーズンですが時折おとずれる風の無い日はぽかぽかと暖かさを感じます。 こんな日はシーズン中に通っていた渓流に足を延ばして見ませんか。 春や夏と違って今は水量もぐっと下がり川幅も狭くなり底の石が手にとる様に見えて、通っていた頃の風景とは違った川に見えます。

元々、川の流れはいつまでも同じ所を流れている訳ではなく何年かたつと河原の中で蛇行する場所を変えます。 特に今年は、上陸はしなかったものの台風の足が遅く長雨になりましたので、多くの場所で流れが変わったり護岸が崩れたりしています。

河原を大水が走っただけの場所か、あるいは完全に流れが変わった場所なのか、今年通った川の変化を確実に見ることが出来るのは今だけです。 雪が残っている解禁の頃でははっきりとした様子はわかりません。雪代が出た後では区別するのが困難になります。 今の季節にわざわざ川を見に行くにはわけがあります。 それは流れが大きく変わった場所は色々な理由で翌シーズンは魚が寄り付かないからなのです。 ところが河原に生えていた障害物が流されたおかげでラインを振りやすいこともあって、こんな場所でフライ・ロッドを振っている人をよく見かけるのです。

たとえ流れが大きく変わっていても、たまにしか渓流に行かない人や、初めて来た人には仲々区別がつきにくいのは仕方の無いことでしょう。

でも、取り立てて遠くまで出かける訳ではありません。 渓流といっても仙台市内ですし、やや遠くても隣町です。 せっかく近くに釣場のある所に住んでいるのですからドライブがてら天気の良い日に出かけて見てはいかがですか。

(「河北Weekly」2001年11月掲載)


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大福帳

年末になると本屋さんの店頭に翌年の日記帳とシステム手帳が山積みになります。

真面目に日記を書いていたのは夏休みや冬休みの宿題にあった頃までで、その後は書いた記憶がありません。 ところが釣に関してはフライフィッシングに手を出し始めて数年たった1976年から今日まで20数年に渡って記録を取り続けています。 日記帳でも手帳でもありません、カレンダーの日付の横に書き込みをしているだけです。

内容は釣れた魚や毛ばりは勿論、釣れなかったこと川の周辺に咲いていた花のこと、それにシーズンオフの大雨や大雪のことなどです。

80年代になると協力していただける人達が加わりましたので、頂いた沢山のデータを年末に整理してお返しするため、個人が使うコンピュータがまだ8ビット機が全盛だった時代に16ビット機でデータの処理を始めました。 当時まだOSが珍しかった時代にMS-DOSでデータを保存していたおかげで、現在のウィンドウズ上でも利用出来ます。しかしハードディスクの信頼性から記録の原本は現在でもカレンダーに書き込んでいます。

釣の視点で25年以上に渡って記録を取り続けていると一生に一度のことかもしれなかったデータもあります。

1981年7月31日の昼頃、太陽が大きく隠れる日食がありました。 当時の天候は晴れ、頭の上に太陽があるのに夕方の様な日差しになりました。 金曜日でしたがシーズン真っ盛りのこの日何人かの釣人が大倉川と北川に入っていました。 でも、この時刻にヤマメやイワナが夕方と錯覚して毛ばりにライズした報告は記録されていません。

カレンダーの日付欄にわずか数行の書き込みですが、長い間溜まると仙台周辺の釣場の変化も読み取れてきます。 2002年からあなたもデータを残して見ませんか。

(「河北Weekly」2001年12月掲載)


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魚料理

一般の家庭で魚を丸ごと買うのはアジかサンマくらいでしょう。 ところが釣人のいる家庭ではハゼでもブリでも全ての魚が尾頭付です。 それらに備えて包丁と真板は揃っていますが、たまたま大漁の時はご近所や知人に配ることになります。 切り身や刺身の状態で届くのは稀で、たいていはさっきまで泳いでいた大きな魚が届きます。

でも、突然届けられてもあわてないでください。 文化包丁と料理用ハサミがあればバラスのはそんなに難しいことではありませんから喜んで受け取りましょう。 今の季節の大物なら真ダラでしょうか。 全体を水洗いしたら肛門から包丁を入れてワタを出します。 エラ近くに親指位の緑の玉がありますから、つぶさないように気を付けて取り除いてください。 背中から骨に沿って包丁を入れて左右に分けます。腹骨の部分は調理用のハサミで切り離せば三枚に下ろせます。 後は残った頭と骨の利用方法です。エラをハサミで切り落とします。 骨は鍋に入る程度に切り分けるのですが関節の部分で切らないと包丁を欠いてしまいます。 頭は丸のまま、小さく分ける必要はありません。これらを鍋に入れてたっぷりの水で火にかけます。 沸騰する直前にアクが浮いてきますから丹念に取り除き、弱火にして水を足しながら半日ほど続けると大きな頭が骨を残して跡形もなくなります。 ざると布巾を使って漉したものをフリーザパックに小分けして冷凍しておけば何時でも鍋のダシとして使えます。

最後にわが家のタラ汁を紹介しましょう。先程のダシで作った味噌汁です。 野菜はささがきのこぼうだけ。煮上がった所で味噌を加えタラの身と、別にゆでておいた肝を一口ほどに切って入れます。 碗にもったら山盛りのねぎ(てきればあおねぎ)と摺り下ろした生姜を一つまみ加えて出来上がりです。 機会があったら試して下さい。

(「河北Weekly」2002年1月掲載)


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渓流解禁2002

まもなく3月です。 1日から渓流魚が解禁になります。 例年なら今頃は山も河原も沢山雪が残っているのですが1月に2度も大雨が降りましたので今年は少し様子が違います。 川によっては源流付近まで入れますが、この時の雨による雪解けは一時的なもので、その後平年並みの気温に戻りましたから渓流の魚達はまだ上っていません。 雪代が出る前に魚より先に上流に向かうより、この時期は下流から始めましょう。

さて、解禁直後は毛ばりよりも餌かルアーでしょう。特にルアーは魚がスレていないこともあってヒットするチャンスに恵まれます。 スプーンを底スレスレに引く場合が多いので3本バリより、シングルフックか2本に振り分けた通称「天国バリ」をお勧めします。

渓流に入れるシーズンになったといっても山は時々真冬に戻ります。 近くの川に出かける場合でも人と車に冬の装備を忘れないでください。

ところで、仙台周辺の川はどのあたりからヤマメがいるかご存じですか。 広瀬川は県工の裏「しばり地蔵」の付近で釣れたことがあります。 名取川は南インターの下流「熊野堂」付近で釣れたことがあります。 「はや」など色々な魚に混ざっていますから専門に狙うことは難しく、季節と共に上流に移動しますが、たまに鮎解禁直後に大型ヤマメが友釣にヒットすることがあります。 さすがにイワナはもっと上流になりますが町の中心を流れる川にヤマメやイワナがいるのは東北では珍しいことではないのです。

最後に渓流で釣をするには入漁券が必要です。 宮城県には10以上の漁協がありますが、残念ながら全県共通の入漁券は発行されていません。 広瀬・名取川漁協は下流から源流まで、しかも渓流魚から鮎まで同一の入漁券で使えます。 今年の入漁券は既に発行していますから出かける前に忘れずに入手してください。

(「河北Weekly」2002年2月掲載)


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渓流釣りと昆虫の関係

渓流でヤマメやイワナを釣る餌は、みみず、ブドウ虫、イタドリ、川虫等を使います。 水量と濁り具合でこれらの餌を使い分けますが、水が澄んでいる時は川虫が威力を発揮します。 クロカワ虫、キンパク、ダイコク虫、ジャジャ虫等、季節に応じて採取出来る虫を使います。 解禁直後はヒメダイコクが良く使われますが里川の水温が上がってジャジャ虫が採れるようになるとヒメダイコクは喰渋ります。 困ることは地域によって呼び名が変わったり数種類の虫をひとまとめに呼んだりしていますので、名前だけではわからないことです。

学名はありますが釣人が呼んでいる名前が一般に通用していますので実物を見ないと確認出来ません。 これらの川虫をじっくり観察して本物そっくりに作ってしまうのが、ニンフと呼ばれる毛ばりで釣をしているフライマン達です。 寒い時期から虫を採取して水槽で羽化するまで飼ったり、魚の胃の中からサンプルを取ったりしながらフライを作っていましたが、経験を積み重ねる内に水の濁り具合と水量でフライのサイズと色を選びオモリの重さを調整すれば良いことがわかってから、夢中になって虫を観察する人は少なくなりました。

さて、ヒゲナガカワトビゲラと呼ばれる水性昆虫がいます。 この虫はアフリカ大陸の中央部とインド洋に面した地域それに日本を含む太平洋の西側にだけ分布していてアメリカ大陸や大西洋に面した場所にはいない虫なのだそうです。 この分布は数億年かけて大陸が移動したことを間接的に証明する証拠なのだそうなのです。 川虫の大多数は人に害を与えることが無いことから専門に研究している人がひじょうに少ないので、将来釣人が研究に協力出来る時が来るかもしれません。

(「河北Weekly」2002年3月掲載)


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イブニングライズ(その1)

仙台近郊の渓流、大倉川、名取川それに北川などで釣をしていると人里が近いにもかかわらず色々な種類の鳥に出会います。 舗装道路から外れて砂利道になったとたんにキジの親子連れに出会ったり、竿の先の対岸の流れに頭を出している石の上にセキイレが止まっていたりします。 イブニングライズに入る少し前の頃、水面を見ていたときに気配を感じて見上げるとグリズリーハックルの様な白黒縞々のヤマセミが下流に向かって飛び去って行ったり、時には木の枝に止まっているカワセミを見たりします。 水面に時折影が映るので空を見上げるとトビが回っていたこともありました。 これらの鳥のなかには魚を餌にしている鳥がいます。 特にドライフライで釣れる時期は魚が水面まで出てくるので鳥達にとっても捕まえやすいシーズンでもあるのです。 現場でこれらの鳥と出会った時は魚が非常に警戒しています。 鳥の目が効かなくなる日没まで待つか、あきらめてポイントを変えるしかありません。 釣人にとって最高の条件の日はやはり鳥達にとっても同じ日なのです。 しかし意識して見なければ、これらの鳥達の姿は見つけられません。やはり鳥も警戒しています。 里山を流れる川での釣ですからしかたがないのですが、農家で飼っているアヒルが数羽、川に遊びに来てポイントでウロウロされたこともありました。 シーズンに入れば毎日でもフライで釣れるように感じますが、水量や気温に加えて、これらの鳥達の行動も注意して見ておく必要があります。 でも、鳥がいることは彼等が必要とする餌、魚が居る証拠なのです。

(「河北Weekly」2002年4月掲載)


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イブニングライズ(その2)

5月の中旬を過ぎた頃、夕暮れ時に渓流の流れが緩くなったプールの様な場所で一斉にカゲロウが羽化する日があります。 スーパーハッチといってこれが終わればいよいよイブニングライズのシーズンインです。 一般に渓流釣は朝まずめが一番釣易く餌釣では絶対に外せない時間帯ですが、毛ばり釣りでは夕方陽が沈んだ直後からフライが見えなくなるまで、カゲロウを始めとする虫たちが羽化するのに合わせ活発にヤマメやイワナが反応します。 これをイブニングライズといってフライ・フィッシングでは見逃せない時間帯なのです。 川の中に立ち込んでいても静かにさえしていれば日中全然姿が見えなかった魚たちが釣人を気にする様子もなく目の前で水面から飛び出して捕食します。

このシーズンに入ると仙台に住んでいる人なら40分位で現場に到着しますから平日でも残業がなければ仕事が終わってから釣が出来るのです。 一年で一番陽が長い時期ですから毛ばりが見えなくなるまで釣をしていると午後9時近くになってしまうことがあります。 イブニングライズの釣は現場を知り尽くした地元の川以外では大きな危険が伴います。 何度も通って十分にわかっている川でも釣上った川を引き返さず、必ず釣終わった場所から道路に戻れる地点を見つけておきましょう。 街燈もない山の中の道は月が出ていなければ自分の足元も見えない程真っ暗ですから懐中電灯は必儒品です。 小型で遠くまで光の通るライトで夜道を照らすと時折夜行性の動物の目が闇の中で光っていることがあります。 真っ赤に光るキツネの目、グリーンに光るテン、他にも黄色や銀色に光る目の動物達に出くわします。

百万都市仙台からわずか離れた郊外にはまだ多くの自然が残っています。

(「河北Weekly」2002年5月掲載)


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