2008.04.20 update
まず最初にこの毛鉤「茜(あかね)」を紹介します。 この毛鉤は長野県在住の小平高久氏が約30年前に考案したものです。 巻き方は連合王国(U.K)で使われてきた、いわゆる伝統的な毛鉤の巻き方を踏襲しつつ、氏のセンスが折り込まれた毛鉤となっております。 当Web Page管理人はこれ1本あれば不自由しないと言って、解禁当初からシーズン終了までずっと使用しているほどです。(実際には蓑毛および尻尾の色を何種か変えた毛鉤を用意して使用しています。)
考案者からの要望により、この毛鉤が生まれた背景・経緯を追加しました。(2008.04.20)
「長野県千曲川流域ではヤマベやハヤ等の川魚を食べる習慣があります。 地元の人達は餌釣りや流し毛鉤を使って川魚を釣るのです。 昔、身体が不自由な人が近所に住んでいて、川魚を釣りたいから流し毛鉤を作ってくれ、と言って私の店に買いに来て下さいましたので、その時は目の前で毛鉤を5本巻いて仕掛けを作って渡しました。 それから毎日毎日買いに来て下さるようになったのですが、どういうわけか以前巻いたものと同じものを渡すと怒りだす人だったので、毎日毎日新しい毛鉤を5種類考えて作っていました。 最初のうちは良かったのですが、日が経つにつれ、新しい毛鉤を考えることに大変苦労するようになってきました。 今にして思えば、何千何万種類の毛鉤を巻いた事になるでしょうか。
ところがある日、この人から、これだけは必ず作ってくれとリクエストされた毛鉤があります。 それは、錦鶏の蓑毛の赤い部分を胴に巻き、ありきたりの茶色系統の鶏の蓑毛を巻いたものでした。 この毛鉤は後にフライフックに巻いて茜と名付けることになります。
ヤマベやハヤが良く釣れるのなら、イワナやヤマメも良く釣れるだろうと思い、試してみると実際良く釣れました。 ことに安曇野穂高の水の透明度が高いチョークストリーム風の流れで、釣るのが難しいと言われていた場所でも、この茜には魚は良く反応してくれました。 鮎毛鉤として使用しても効果が出ると思っていますが、自分も含めてまだ誰も試した人はいません。
この毛鉤の大きな特徴はふたつあります。 一つ目は、胴に使うのは金鶏の蓑毛、また、蓑毛と尻尾に使うのは鶏の蓑毛という、誰にでも簡単に入手出来る材料から作れるため、ワシントン条約や法律に引っかかるような材料は使わないで済むといことです。 二つ目は蓑毛の色はあえて指定していないということです。 胴に金鶏の蓑毛を使うというのは決まり事なのですが、蓑毛と尻尾の色は釣り場の環境に合わせた色、自分の気に入った色を使えば良いと思っています。 使う人・巻く人によって色々なバリエーションがありますので、それぞれ楽しんで頂ければと思っています。」
茜を作るのに使った材料を紹介します。
注:考案者によると蓑毛の色は指定しないとありますが、ここでは当Web Page管理人が初めて見た乾式西洋毛鉤としての茜が「浅黄(Blue Dun)」色の蓑毛だった記憶があることから、この色を使用しました。 また、流し毛針としての茜は考案者が茶色系統の蓑毛で巻いているのを見た覚えがあります。 使用する方各自がそれぞれ様々な色の蓑毛を使用して頂ければ幸いです。(2008.04.20)