2007.1.14 update
ここに納めた資料は故荒井利治氏が執筆されたもので、荒井氏他界後御遺族から提供して頂いたものです。
HARDY MANUFACTURED REELS CATALOGUED
HARDY MANUFACTURED REELS UNCATALOGUED
LIMITED PRODUCTS FOR JAPAN
編集:発行 株式会社アングラーズ リサーチ
Nobember 1986.
近年、日本でもハーディーの古典リールに興味を持つ人々がふえ、一部ではあるが骨董品となりつつある種類のリールが高価で取引されている。
ところが古い資料となると日本にはほとんどない為に弊社への問い合わせも年々増えている。
米国で刊行された単行本ハーディー リール オブ フライにはフライリールだけで評判のたかかった往年のスピニングリールなどには触れられていない。
弊社が発売しているベスト オブ ハーディー アングリング ガイドは英国で発行されたハーディー社の古いカタログの復刻版で代表的な製品が網羅されているがこれも総てではないので、一年以内に製造中止したものなどはリストされていない。
では過去105年にわたりハーディ一社はどんな種類のリールを作ったのか、それを一覧にしたものがこの小冊子である。 英国でもこれまで完ぺきにリストしたものは今まで無かったと自負する。 現在の副社長ジム ハーディー氏の協力で製作した。
1932年に初代社長であったJ.J.Hardyが釣りの最中に心臓発作をおこしそのまま大往生をとげた。 リストでわかる通り創業から1932年までにおびただしい種類のリールが製造されている。 しかしモデルによっては一年以内に製造中止となったものも多く、手造り時代をしのばせる。 顧客の好みと次ぎ次ぎに改良される試行錯誤の繰り返しがJJの時代でもあった。 そんな中で1923年に最初のモデルを発表したセント ジョンリールは改良も重ねたが現在まで生き続けているのは注目される。
二代目社長であるL.R.ハーディーは製品の完成化に努め、世界一の名声を獲得する、叔父のJJの意志を受け継いでトーナメント選手としても活躍すると共に、製品の系列化を進めた。
ところが1930年代の最後には欧州に戦火が拡大し、1939年をもって多機種の製造中止をよぎなくされる事態となった。
その後1945年第二次世界大戦終了までハーディー社の大部分はロールス ロイス社の飛行機原動機の部品製造などに従事して釣り具の製造は縮小された。
戦後の原料不足、人員の問題など英国全土を襲った戦後処理は意外に深刻で暗い数年を過ごす結果となり、戦前の製品をほそぼそと生産したり、修理などに明け暮れた。
新モデルを発表したのは1951年、LR ハーディーの自信作品のフライリールが最初で自らの名前を冠したLRH ライトウエイトで以後、この系列のデザインの原型となった。
三代目の社長ウイリアム F.ハーディーはドイツ軍の捕虜として終戦をむかえ、帰国後社業に復帰した。
1950年代LRHの補佐役としてグラスファイバーのロッドの将来などを研究し、リールについては旧モデルを継承するにとどまった。
1960年の後半には市内にあった工場及び本社を新たに開発された工業団地地区に移転し、新工場と本社を落成、社長職をLRHから委譲されWHハーディーの時代となった。
又、製品の販売先も国内から海外が主力となり、リールの製造は既に基盤を築いたフライリールに統一して世界市場に躍進してゆく事になる。
1969年にベストセラーとなるマーキスとバイカウントを同時に発表、さらにマーキスについては米国市場ではサイエンティフィック アングラーズ社と独占販売契約を締結、同じモデルを米国内に限りシスチムの名で供給した。
バイカウント リールについては自社ブランドのほか、米国オービス社に対してプライベートブランドの製品バッテンキルを納品するなど従来のハーディー社の営業姿勢を一変させる営業も促進した。
英国と米国の問に通貨変動問題が多発した結果、システム ブランドの供給終結は意外に早くおとずれた。
バイカウントについては机上計算よりも大幅に生産数が増えた結果、金型の寿命がつき自然消滅の形で製造終了をむかえた。
将来の需要予測などから結局金型の再製造を断念した為である。
金型最後の製品としてカタログから消えてから約2年間、日本向けとして130モデルのみMK IIIが製造された。
将来の骨董としては貴重なものとなろう。
又、日本から特注として限定生産された2種のゴールデンンシリーズ(注:Golden Marquis,Golden Featherweightのこと)は既に英国骨董市場で評判となっている。
これについてはハーディー社のカタログには一切掲載されておらず、弊社とハーディー社の間に取り交わした特約による生産であった為好事家垂えんのモデルとなっている。
1983年WF ハーディーの終えんと四代自社長ジョン ホーランドの就任とともに製造から管理までコンピューター時代に入った。 生産性、採算性が重視され採算割れ製品についてはすべて製造中止となった。 1983年/1984年を初年として発表されたプリンス、ゴールデン プリンスシリーズは新時代のリールとして、ハーディー社近代の傑作とされ評価されている。 いつの時代でも世界のフライリールとして最右に座する製品を持つ105年の歴史をまた塗り替えたのである。
1986年11月
株式会社アングラーズ リサーチ
(文責 荒井利治)
不許転載 COPYRIGHT 1986 ANGLERS RESEARCH LTD. CHIBA, JAPAN.
LOS:JLH/1986, HOUSE OF HARDY, ALNWICK, ENGLAND.
JLH/9.10.86
Bronzed Gunmetal | 1880 | 1921 | |
Nottingham Plain | 1890 | 1920 | |
Perfect | 1890 | 1966 | |
Ocean Reel | 1894 | 1911 | |
The Field | 1897 | 1907 | |
Farne | 1897 | 1904 | |
"Silex" | 1897 | 1911 | |
Nottingham - Silex Action | 1899 | 1911 | |
Uniqua Mk I Trout | 1903 | 1920 | |
Bougle | 1903 | 1939 | |
Little Silex Tournament | 1905 | 1911 | |
Special Perfect | 1905 | 1939 | |
Farne Ebona | 1905 | 1910 | |
Longstone, Ebona and Metal | 1905 | 1959 | |
Ocean Ebona | 1905 | 1910 | |
Megstone | 1905 | 1927 | |
Perfect Silent Check | 1908 | 1910 | |
Uniqua Salmon | 1909 | 1959 | |
St. George | 1911 | 1983 | |
Coquet Sea Reel | 1911 | 1921 | |
Silex No.2 | 1911 | 1922 | |
New Farne No.1, No.2, No.3 | 1911 | 1927 | |
New Ocean | 1911 | 1911 | |
Nottingham Lever Action | 1912 | 1921 | |
Silex No.2 Patent Surf Reel | 1912 | 1913 | |
Eureka | 1913 | 1955 | |
Sea Silex | 1914 | 1959 | |
St. George Silent Check | 1920 | 1926 | |
St. George Salmon 4-1/4" | 1920 | 1924 | |
"Tuna" | 1921 | 1922 | |
Silex No.2 Silent Wind | 1921 | 1921 | |
Uniqua Mk II Trout | 1921 | 1959 | |
St. John (Originally/made for J.J.) | 1923 | - | |
"U.S.A.Fly Reel"* | 1923 | 1923 | * radio silent variable brake. |
Silex Major | 1923 | 1952 | |
"Natal" Surf | 1923 | 1948 | |
Silex Minor | 1923 | 1923 | |
Triumph | 1923 | 1928 | |
Sunbeam | 1924 | 1956 | |
J.J.Hardy's Silex | 1924 | 1928 | |
Silex Multiplier | 1924 | 1939 | |
The "Fortune" | 1924 | 1956 | |
"Auxiliary" Brake 3-1/2 + Uniqua Perfect Silex | 1925 | 1929 | |
"Filey" | 1925 | 1939 | |
"Fortuna Fly" | 1925 | 1939 | |
"Alma" | 1926 | 1935 | |
Hardy Zane Grey | 1928 | 1957 | |
St. George Multiplier | 1928 | 1939 | |
St. George Jr. 2-9/16ths.in. | 1928 | 1964 | |
Super Silex | 1928 | 1953 | |
Special Longstone for Dorado | 1928 | 1939 | |
Davy | 1930 | 1939 | |
Tournament Revolving Drum | 1931 | 1934 | |
Improved Farne | 1931 | 1934 | |
"South African" Surf Casting | 1931 | 1948 | |
"Hardy-Decantelle" Bait Casting | 1931 | 1950 | |
Hardy Wallis Bottom Fishing Reel | 1931 | 1939 | |
Cascapedia Fly Reel | 1932 | 1939 | |
Altex No.1 | 1932 | 1965 | |
Altex No.2 | 1932 | 1966 | |
Hardy-White Wickham | 1934 | 1939 | |
The "Barton" Dry Fly Reel | 1934 | 1939 | |
Silex Rex | 1935 | 1937 | |
Altex No.3 | 1935 | 1963 | |
Lightwieight | 1936 | 1964 | |
Hardex No.1 | 1937 | 1959 | |
Sea Altex | 1937 | 1959 | |
Match Fisher's | 1937 | 1939 | |
Triumph | 1937 | 1951 | |
New Brunswick | 1938 | 1939 | |
Hardy - Jock Scott | 1938 | 1952 | |
No.2 Hardex | 1939 | 1959 | |
Elarex | 1939 | 1964 | |
Goodwin | 1940 | 1959 | |
L.R.H.Lightweight | 1951 | - | |
Princess | 1953 | 1959 | |
Silex Jewel | 1954 | 1959 | |
Conquest | 1955 | 1966 | |
Zenith | 1958 | 1980 | |
Featherweight | 1959 | - | |
Taupo Perfect | 1958 | 1964 | |
Exalta | 1958 | 1965 | |
Hydra | 1958 | 1967 | |
Silex Superba | 1960 | 1971 | |
Flyweight | 1961 | - | |
Princess - Re-introduced | 1962 | - | |
St. Andrew | 1962 | 1969 | |
Gem | 1962 | 1969 | |
St. Aidan | 1964 | - | |
Husky | 1964 | 1969 | |
Marquis No.4-10 | 1969 | - | |
Viscount 130, 140, 150 | 1969 | 1978 | |
Longstone | 1969 | - | |
Marquis Salmon No.1, No.2 | 1970 | - | |
Marquis Multiplier | 1971 | - | |
Silex | 1972 | - | |
Featherweight Multiplier | 1973 | 1977 | |
LRH Lightweight Multiplier | 1974 | 1980 | |
Princess Multiplier | 1974 | 1980 | |
Zenith Multiplier | 1974 | 1980 | |
Sunbeam 5/6, 6/7, 7/8, 8/9, 9/10 | 1978 | 1983 | |
Perfect Re-introduced | 1979 | - | |
Husky | 1978 | 1980 | |
Uniqua Re-introduced new model | 1981 | 1983 | |
Viscount Re-introduced | 1981 | 1983 | |
Marquis Salmon No.3 | 1981 | - | |
Marquis Salmon 1, 2, 3 Silent | 1982 | 1985 | |
Viscount Silent | 1982 | 1983 | |
Prince 5/6, 7/8 | 1983 | - | |
Zane Gray | 1983 | - | |
Golden Prince 5/6, 7/8 | 1984 | - | |
Ocean Prince Two | 1984 | - | |
Golden Prince 9/10, 11/12 | 1985 | - | |
Ocean Prince One | 1985 | - | |
Marquis 2/3 | 1985 | - | |
Marquis Silent Check | 1985 | - |
FOR JAPANESE MARKET
Viscount 130,140 Mk III | 1980 | 1981 | |
Golden Marquis No.4,5,6 | 1981 | 1981 | |
Golden Featherweight | 1982 | 1982 | |
Hydra | 1986 | 1986 | |
*Viscount Mk II 130 | 1986 | * Scheduled manufacturing late 1986. |
ハウス オブ ハーディー在日輸入代理店
株式会社 アングラーズ リサーチ
Tel:0472‐46-6611(代)
ハウス オブ ハーディー製品日本総発売元
コータック株式会社
Tel:03‐881-3533(代)
◎ハーディー製品の販売は全国著名釣具店で取り扱っております。 最寄りの販売店などのお問い合わせは総発売元にお寄せ下さい。
1900以前 | 番号表示なし |
1900 - 1916 | A |
1916 - 1920 | B |
1920 - 1922 | C |
1922 - 1924 | D |
1925 - 1930 | E この間通し番号は不使用 |
1931 | E20923 - E22813 |
1932 | E22814 - E25141 |
1933 | E25242 - E28698 |
1934 | E28699 - E32102 |
1935 | E32103 - E36204 |
1936 | E36205 - E40002 |
1937 | E40003 - E45445 |
1938 | E45446 - E49492 |
1939 | E49493 - E52331 |
1940 | E52332 - E53644 |
1941 | E53645 - E55130 |
1942 | E55131 - E56090 |
1943 | E56091 - E56399 |
1944 | E56400 - E56855 |
1945 | E56856 - E57900 |
1946 | E57901 - E60708 |
1947 | E60709 - E63386 |
1948 | E63387 - E67200 |
1949 | E67201 - E70990 |
1950 | E70991 - E75100 |
1951 | E75101 - E81000 |
1952 | E81001 - E86200 |
1953 | E86201 - E91000 |
1954 | E91001 - E96102 |
1955 | E96203 - E98999 H101 - H4600 |
1956 | H4601 - H10121 |
1957 | H10122 - H14127 |
1958 | H14128 - H27533 |
1959 | E20679 - H27533 |
1960 | H27534 - H35183 |
1961 | H35184 - H48465 |
1962 | H48466 - H52737 |
1963 | H52738 - H59557 |
1964 | H59558 - H66420 |
1965 | H66421 - 最終番号不明 |
1966年より日付コードと呼ばれるアルファベット2宇による符号がロッド上に表示する様改正された。 表示位置はロッドのハンドル上部の先端のブランク部分でたとえばH/Aと示される。 7月/1966の意である。 1985年までのものが1966年に設定された。
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上記の2文字表示のほか1975年より限定で製造しているパラコナロッドについては別の通し番号がリール取り付け装置の部分に表示されている。
1975 | J101 ‐ J938 |
1976以降 | J939 ‐ |
1972年(注:1872年の誤記と思われる)の創業以来ハウス オブ ハーディーの初期製品のロッドの多くは、注文主の背丈や、希望を組み入れたオーダーメイド方式が主体であった関係から各ロッドにはオーナー名があらかじめ表記される事が多く、製造通し番号は不要であった。 1800年代の最後にロンドンにおいて小売部の開設する事となり、商標のみを冠した製品を出荷する段階に至って、製品に製造年度を示す事となった。 近年世界中でアンティックとしての釣り具が再認識され、日本でも流通が始まっておりこれらの鑑定の資料の為にも公開を希望する声が多いので弊社ではハウス オブ ハーディーの了解のもとに、公表するものである。
1872年から1965年までの間、ハウス オブ ハーディーは三代に渡り同族会社として発展してきた。
社名もハーディー兄弟商会(日本訳)と呼ぱれ、世界に知られた釣り具職人であった。
ロッドについてはケーン、グリーンハートなどを素材としたものが主流で最終検査などの窓口も1ヶ所に集約されており、通し番号制度が確立されていた。
しかし1965年にはグラスファイバーによるロッド生産の計画が進み、同族会社であった企業は発展の為にハリス アンド シェルドンに吸収合併され、グループの傘下となった。
機械化されて行く製造態勢と量産の為には厳密な仕上がり順序の把握は不可能となり、2文字符号の採用を余儀なくされたのである。
1872 | HARDY BROTHERS LIMITED. |
1896 | HARDY BROTHERS(ALNWICK) LIMITED. |
1985 | HOUSE OF HARDY LIMITED. |
HARDY BROS.の表示はハーディー ブラザーズの省略で日本語で雑誌などではハーディー ブロスと翻訳するのは間違いです。
資料提供 HOUSE OF HARDY LTD. 1988
日本語版監修発行者:株式会社 アングラーズ リサーチ
本資料の転載などはご自由ですが、使用にあたっては事前にご一報下さい。 本資料のみの複製(コピー)もご自由ですが、弊社名部分もあわせて複写して下さい。
昭和63年4月第2版改訂発行